(※写真はイメージです/PIXTA)

住宅購入では、「無理のない価格帯を選ぶこと」が重要だと言われます。将来の収入変動や教育費を見据え、堅実な判断をすること自体は合理的です。しかし、その判断が必ずしも満足度の高い選択になるとは限りません。数年後、生活や市場環境の変化によって、「あのとき別の選択をしていたら」と感じる場面もあります。

「正解だったはずの選択」でも、揺らぐ理由

ある夜、子どもを寝かしつけたあと、夫婦で将来の話をしていたときのことでした。

 

「ねえ、あのときのマンション、やっぱり良かったよね」

 

それは、これまで口にしたことのない本音でした。

 

「生活は今のほうが楽かもしれないけど、もし都内に住んでいたら、もっと違う毎日だったのかなって」

 

総務省『家計調査(2025年)』によると、二人以上の世帯の消費支出は月31万4,001円です。住宅にかかるコストを抑えることで生活の余裕は生まれますが、その一方で、時間や利便性といった別の価値を手放している可能性もあります。

 

「お金の面では、今のほうが間違いなく安心です。でも、それだけで“満足しているか”と言われると、少し違う」

 

住宅購入は、多くの場合「そのときの最適解」を選ぶ行為です。しかし時間が経てば前提が変わり、別の選択肢が魅力的に見えることもあります。

 

健介さん夫婦にとって、当時の判断は間違いではありませんでした。ただ、その選択が唯一の正解だったとも言い切れない――そんな感覚が残っているといいます。

 

「あのときの選択を後悔しているわけではないんです。でも、“もう一度選べるならどうするか”と聞かれたら、少し考えてしまいます」

 

 

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