(※写真はイメージです/PIXTA)

夫を見送り、現在は一人暮らしをしているチヨさん(仮名・72歳)。ある日、警察官を名乗る人物から「あなたの口座が犯罪組織に悪用されている」という電話を受けました。パニック状態になった彼女を救うかのように、相手はスマートフォンの「インターネットバンキング(IB)」の開設から送金までを電話越しに“親切”にサポート。犯人を完全に信用してしまったチヨさんが、自らの手で大切な老後資金を送金してしまった現代の詐欺の実態とは。

自称・警察官から突然の着信「あなたの口座が犯罪に使われています」

チヨさん(仮名・72歳)は、5年前に会社員だった夫を亡くし、現在は自身の年金と遺族年金を合わせた月14万円を受給しながら、関東近郊の持ち家で一人暮らしをしています。

 

夫が遺してくれた預貯金や生命保険など、合わせて約3,000万円を守りながら、将来、介護施設に入居するための資金として手つかずのままにしていました。

 

平日の昼下がり、自宅の固定電話が鳴りました。電話に出ると、相手は「警視庁の特殊詐欺対策部門」を名乗る若い男性でした。

 

「あなたの銀行口座が、大規模なマネーロンダリング事件の資金洗浄に悪用されていることが判明しました。このままではあなたも共犯者として逮捕される可能性があります」

 

突然の「逮捕」という言葉に、チヨさんの心臓の鼓動は早まりました。「身に覚えがない」と必死に弁明するチヨさんに対して、男性は落ち着いたトーンで諭すように語りかけました。

「銀行員は信用しないで」…優しく丁寧なスマホ操作サポート

「ご安心ください、あなたが被害者であることは我々もわかっています。しかし、今の口座に預金を入れたままにしておくのは危険です。すぐに国が管理する安全な保護口座へ資金を移す必要があります」

 

銀行の窓口に行こうとするチヨさんを、男性は「窓口の行員のなかには、犯罪組織と通じている者がいる可能性がある」と強く引き留めました。

 

そして、スマートフォンを使った「インターネットバンキング」での手続きを勧めてきたのです。

 

「私、スマホの難しい操作はできなくて……」

 

不安がるチヨさんに対し、男性はまるで親切なカスタマーサポートのように、優しく丁寧に対応を始めました。

 

電話をつないだまま、「画面の青いボタンを押してください」「そこにパスワードを決めて入力してください」と、手取り足取りアプリのダウンロードから初期設定まで案内。

 

いわれるがままに操作を進めるうち、チヨさんは「このお巡りさんは、私の資産を守るためにこんなに時間をかけて手伝ってくれている」とすっかり信じ込んでしまったのです。

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