結局、年金の繰上げ・繰下げ、どちらがお得なのか?
今回のモデルケースでは、繰上げ・繰下げ、どちらでも、損益分岐点は、男性の平均寿命(81.09歳:2024年時点)をオーバーしています。また、65歳男性の平均余命は19.47年(2024年時点)であり、年齢では84.47歳ですので、その平均余命も超えています。
つまり、半数以上の男性は、65歳受給開始ではなく、繰上げ・繰下げのどちらかを選択したほうがよいということになります。
それでは、繰上げ・繰下げのどちらがお得なのか? これは想定寿命(何歳まで生きるか)や、公的年金以外の収入があるかないかで変わるので、一概に言及することはできません。ご自身が何歳まで、年金収入をしっかり確保したいかによるともいえます。
繰上げ受給を選択したほうがよいケースは、想定寿命が80代前半くらいまでで、公的年金以外に収入がなく、繰上げ受給で住民税非課税になる可能性がある場合です。株式などの金融所得がある場合でも、申告不要制度を利用していれば、現時点では、住民税非課税および社会保険料の計算の基準となる所得には含まれないので、問題ありません。
また、不動産投資をしており、60歳時点ではローンの金利の支払いがあるが、80歳くらいまでには全額返済が完了して、不動産所得が大幅に増える予定の人も、繰上げ受給で年金収入を平準化することで、将来大幅に税金・社会保険料が増加することを防げます。
一方、繰下げ受給を選択したほうがよいケースは、想定寿命が80代後半~90代と長生きを想定する場合です。また、65歳以降も働いて給与収入や事業収入がそれなりにある場合は、引退して収入がなくなる時点から繰下げ受給をするとよいでしょう。
年金の繰上げ・繰下げ受給は条件を検証したうえで選択を
今回はあくまでもモデルケースでの比較であり、ご自身の年金以外の収入、貯蓄の状況、健康状態、配偶者の有無などの各種条件により、繰上げ・繰下げ、どちらが有利なのかは異なります。
ご自身の状況によく照らし合わせて検証をしたうえで、決断することをおすすめします。
服部 貞昭
ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
新宿・はっとりFP事務所 代表
エファタ株式会社 取締役

