●米・イランの停戦合意後もイスラエルはレバノンを攻撃、イランメディアはホルムズ海峡封鎖を報じる。
●ホルムズ海峡で通航量回復の動きはみられず、ただ原油先物期先価格は比較的抑制されている。
●原油価格と日経平均は長期的にほとんど相関なし、相場をみる上ではやはり長期の視点が重要。
米・イランの停戦合意後もイスラエルはレバノンを攻撃、イランメディアはホルムズ海峡封鎖を報じる
米国とイランが即時停戦に合意したことを受け、4月8日の世界の株式市場では、中東情勢が改善するとの期待から、主要株価指数は軒並み上昇しました。また、2週間の停戦期間中にホルムズ海峡が開放されれば、通航量が正常化に向かうとの見方から、WTI原油先物価格は前日7日の取引時間中につけた1バレル=117ドル63セントから、日本時間8日朝方の時間外取引で91ドル05セントへ急落しました。
ただ、イスラエルが停戦合意後もレバノンへの攻撃を続けており、レバノンは停戦合意に含まれていないとする米国・イスラエルと、レバノンを含む地域全体での停戦を求めるイランとの間で、早々に食い違いが生じています。こうしたなか、イラン国営のプレスTVは4月8日、ホルムズ海峡が「完全に封鎖された」と報じており、イスラエルによるレバノンへの攻撃に対し、イランが報復措置を講じたとみられます。
ホルムズ海峡で通航量回復の動きはみられず、ただ原油先物期先価格は比較的抑制されている
ホルムズ海峡の通航量は、米国とイスラエルがイランへの攻撃実施を発表した2月28日以前は、1日で100隻を超える日もみられましたが、翌3月1日から通航量は激減し(図表1)、日本経済新聞によると、4月8日の午後8時(世界標準時)時点でも3隻だけとなっています。改めてWTI原油先物価格に目を向けると、日本時間9日朝方の時間外取引では、97ドル88セントまで値を戻しています。
前述のイランメディアが報じた通り、ホルムズ海峡の封鎖が続き、通航量が回復しなかった場合、原油価格の高止まりや、さらなる上昇といったことも予想され、日本株へのマイナスの影響も再び強まる恐れがあります。ただ、WTI原油先物の限月(げんげつ、先物取引の期限が満了する月)をみると、直近5月限(ごがつぎり)の価格は高水準にあるものの、期先の限月価格の上昇は、比較的抑制されていることが分かります(図表2)。
原油価格と日経平均は長期的にほとんど相関なし、相場をみる上ではやはり長期の視点が重要
WTI原油先物市場が紛争の長期化を本格的に織り込み始めると、期先の限月価格も大幅な上昇が予想されるものの、今のところ、そこまで織り込みは進んでいない模様です。原油価格の動向は、この先の日本株を見通す上で重要な要素となりますが、少し長期的な視点で両者の関係を考えるため、WTI原油先物価格、ドバイ原油先物価格、日経平均について、2020年1月3日から2026年4月3日までの週次データを使って相関関係を検証してみます。
なお、「みせかけの相関」を回避するため、各データは対数値に100を掛けて1階差変数とし、定常過程に従うことを確認しています。その結果、WTIと日経平均は0.15、ドバイと日経平均は0.12で、長期的にほとんど相関はないことが示されました。日経平均は短期的に、イラン情勢を巡る報道や原油価格の動きに影響を受けやすいと思われますが、当然ながら、原油価格だけで株価が形成される訳ではなく、やはり長期的な視点が重要と考えます。
※当レポートの閲覧にあたっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『ホルムズ海峡の運航状況と原油相場と日本株【三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』を参照)。
市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフマーケットストラテジスト
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