歴史的建造物にスポーツ施設…魅力の多いメルボルン
紙数の関係でメルボルン観光は簡単に書く。
1、フィッツロイ庭園のキャプテン・クックの生家(移築)。
2、 世界文化遺産の王立博覧会ビル。一八八八年建築で、ビザンチン、ロマネスク、ルネサンスの各様式の複合で優美。
3、 イーンビクトリア・マーケット肉類、鮮魚、野菜に雑貨まで売る千店以上の大市場で、活気に満ちて、アジア的喧騒さえ感じる。世界を回ると、マーケットが豪華な国は、概ね政治的にうまくいっていると聞いている。
4、 コモハウス。一八世紀オーストラリア上流階級の庭園付き邸宅。典型的コロニアル住宅で、舞踏室が広く優雅。
5、 スポーツ施設。メルボルンのスポーツ大会では、全豪オープンテニス、F1グランプリ、競馬のメルボルンカップが三大イベントとされ、オーストラリアのスポーツ界を独占する。また、国民はサッカーを好み、メルボルンにも十万人の大スタジアムがある。
一九五六年にこのメルボルンで南半球最初の夏季オリンピックが開かれ、二〇〇〇年にはシドニーで二回目が開催された。日本は東京の一回だけだから豪州人のスポーツ好きがわかる。
水泳が一時金メダルの黄金時代を築き、女子のフレーザーと男子のマリー・ローズ、それにイアン・ソープが栄冠を得た。しかし三人とも疑惑事件に関わったとされ栄光は消えた。
フィリップ島の美しい自然とペンギンたち
夕刻からメルボルンの南東約一〇〇キロメートルのフィリップ島へペンギン上陸の見物に出かけた。二時間の窓外は広い牧場で、オーストラリアの食の豊かさを実感する。
橋を渡り、島に着くと自然保護地帯でカンガルーもコアラも野生のままなのに驚く。海辺の観覧席に着き、日没になると一羽の三〇センチくらいのフェアリーペンギンがよちよちと上陸してきた。
一時間で二百羽ほどがぞろぞろ上がってくると、手が届くほど近くをパレードして、藪の中でニャーニャーと猫のような声で騒ぐ雛に、口うつしでエサをやっている。自然保護のためにペンギンの撮影は禁止されていた。
ペンギンは主に南半球にしかおらず、全部で十七種いるが南極大陸で繁殖するのはコウテイペンギンとアデリーペンギンの二種だけで、ほかは数々の島や沿岸に散在する。北限は赤道直下のガラパゴスペンギンである。今回、生態が見られて面白かった。
満天の星も素晴らしかった。天頂近く、川幅広い銀河にかかる南十字星が懐かしい。右の方にニセ十字があるが、本物の方は小さいし、暗黒星雲の近くだから間違えないように。街では見られぬ天の饗宴だ。あまり熱心に見とれていたので、一人取り残され、同行の皆様に迷惑をかけた。
英国植民時代の面影がある、レトロな港街
観光センターですぐ夕食になったが、ここでも大きなロブスターが出た。オーストラリアでのご馳走は、オージービーフとロブスターとアイスクリームというところか。
メルボルンへ帰り部屋へ戻る。このホテルは電気系統が進みすぎセンサーと省エネ操作がややこしい。水道水は建前としては飲めるが、ペットボトルの方が無難である。
メルボルンは英国植民時代の面影があるレトロな港街で、かつての首都である。空に熱気球が幾つか浮かぶ愉しい街である。代表的交通機関は路面電車で、七月四日は古風で唯一無料の三十五番回遊線で一周見物となった。
シティーや港で再開発中のドックランドはさすがに高層オフィスビルが林立しているが、洲会議事堂など一九世紀の古典的な建物が多い。このメルボルンの属するビクトリア州は愛知県と姉妹提携し、ニューサウスウェールズ州のシドニー市は名古屋市と姉妹都市でもある。
豪州は米国と同様、州の権力が強い連邦国家である。七つの州から成り、面積は日本の二十一倍なのに、全人口が約二千万人で増加政策のない豪州では、人口四百三十万人のシドニーと三百八十万人のメルボルンは二大都市なのである。
連邦首都は長い間メルボルンだったが、新興シドニーの勢いが増し、折衷案として中間のキャンベラに一九二七年に新首都を建設したが、現在は人口三十四万人の閑静な街だそうだ。