「長男だから」「女の子だから」――。親にとっては、当たり前の感覚だったのかもしれません。しかし、きょうだい間で積み重なった教育費や援助の差は、年月を経ても消えず、親の介護という局面で一気に噴き出すことがあります。高齢の父の介護をめぐり、46歳女性が兄に突きつけた拒絶の言葉とは?

介護をめぐって表面化する“きょうだい間の格差”

兄弟姉妹の間で、進学先の差、仕送りや学費援助の有無、住宅・結婚資金の援助といった差がある場合、それが長年の不満として蓄積し、介護の場面で一気に表面化することがあります。

 

親世代は「その時々の事情に応じてやっただけ」と、必ずしも意図的な差別ではないこともあるでしょう。ですが、地域や家庭によっては、長男に教育費や援助が集中する傾向……いわゆる「長男教」の名残が見られることもあります。

 

いずれにしても、子ども側から見ると、「親から受けた待遇差」として記憶されます。金銭面での差で進学先が限定されると、「人生の選択肢まで狭まった」と考える人がいても違和感はありません。

 

実際、兄・康介さんの大学4年間の学費と仕送りにかかった費用は、おおよそ1,000万円。さらに、結婚式、出産祝い、住宅購入費での援助やお祝いで600万円ほど受け取ったと見られています。

 

一方で、妹である尚子さんの大学費用は250万円ほど。独身ということもありますが、親から大きなお金を受け取ったことは、まったくありませんでした。

子どもが複数いる場合に「親がすべきこと」

文部科学省「 私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によると、私立大学の初年度にかかる授業料は96万8,069万円。一方で、公立大学の授業料は53万6,520円と2倍近くの差があります。

 

さらに、全国大学生活協同組合連合会の「第0回学生生活実態調査」によると、仕送り額の平均は月7万2,350円。もちろん尚子さんの時代とは違いますし、家庭によって金額差はあります。しかし、「私立か公立か」「実家から通学か下宿か」で、教育費(仕送り)の差が大きくなることに変わりはありません。

 

本来、完全に平等とはいかなくても「どちらかが明確な不満を抱えるほどの差」が出ないように、親として配慮しておく必要があったのでしょう。

 

兄は自分自身で面倒を見ることは不可能だといい、介護サービスをできる限り使うこと、それでも生活が不安であれば、父に施設入居を勧めることを考えているといいます。

 

「ちゃんと選択肢があるのに、なぜ私に押し付けようとしたんでしょうか。兄はもちろん、兄に同調したであろう父も、理解できません」

 

康介さんと父の考え方に問題があることはもちろん、事の発端はやはり「親の不公平」です。

 

子どもが複数いるのであれば、お金をどう準備して、どう使うかの計画を、よりきちんと考えて実行すること。それでもやむを得ず予定通りにいかなかった場合、どう説明し、どうフォローするか。これらを怠らないことが、きょうだい仲を壊す結果にならないためにも、欠かせません。

 

 

 

 

 

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