暗号資産という“新たな逃げ道”も塞がれつつある
こうした“いたちごっこ”のなかで、近年増えているのがビットコインやイーサリアムといった「暗号資産」を利用した資産移転です。これは日本に限らず、米国のIRS(内国歳入庁)など各国の税務当局が対応に苦慮している手法でもあります。
この状況を受け、OECDはCARF(Crypto Asset Reporting Framework)という「暗号資産等報告枠組み」を整備しました。この制度は2027年から本格的に運用が開始される予定です。
CARFは、各国の税務当局が、自国の暗号資産交換業者から非居住者の取引情報の報告を受け、それを租税条約に基づいて自動的に交換する仕組みです。なお、2027年に交換される情報は2026年分、すなわち今年の取引データが対象となります。
このような動きからもわかるとおり、暗号資産を用いた海外への資産移転も、今後は税務当局に把握される可能性が極めて高くなっています。
国税当局は調査の際、「海外資産」「海外取引」「海外投資」の3つに分類して分析していますが、海外が関与する事案は、不正や申告漏れ、さらには追徴税額が多額になる傾向があるとされています。
これまで「国内業者を使えば把握されるが、海外業者なら把握されにくい」とされていた暗号資産取引も、今後はその前提が大きく変わることになります。
各国間で交換される暗号資産の情報項目は、以下のとおりです。
・利用者の氏名・住所
・居住地国
・外国の納税者番号
・当該年の取引対価の総額
このように、極めて具体的な情報が共有されることになります。
資産家に重くのしかかる「承継リスク」
こうした国際的な監視体制の強化により、日本の資産家にとっては財産承継の難易度がさらに難しくなっていくと考えられます。
相続税の負担が大きい日本では、「築いた資産が3代続かない」とも言われますが、実際には2代目の段階ですでに大きな負担となるケースが少なくありません。今後は、より慎重な資産管理と税務対応が求められる時代になるでしょう。
奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表
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