「いつまで家にいるんだ…」65歳父が抱えた不安
誠さん(仮名・65歳)は、37歳の長男・悠人さん(仮名)と二人暮らしを続けてきました。
中小企業の営業職として働いてきた誠さん。65歳を迎えた現在も嘱託社員として勤務しており、年収は約450万円です。
一方、悠人さんは数年前に会社を退職した後、転職を繰り返していました。現在はアルバイト収入が中心で、生活費の多くを父に頼っている状態です。
「最初は、“次の仕事が決まるまで”という話だったんです」
食費、光熱費、通信費。悠人さんは家にお金を入れていませんでした。誠さんには、「息子が困っているなら助けたい」という気持ちがあったといいます。
「親ですからね。放り出すみたいなことはしたくなかった」
しかし、状況は少しずつ変わっていきました。誠さんは65歳を迎え、年金生活が現実味を帯び始めます。
退職金や貯蓄を合わせても、老後資金は決して潤沢ではありません。現在の貯蓄は約1,000万円。住宅ローンは完済していますが、今後の医療費や介護費を考えると、不安は大きかったといいます。
総務省『家計調査(2025年)』によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯では、平均消費支出が可処分所得を上回っており、多くの世帯が貯蓄を取り崩しながら生活しています。誠さんも、「働けなくなった後」を考えるようになっていました。
そんな中、ある日の夕食時、悠人さんが何気なく口にした言葉に、誠さんは凍りつきます。
「俺、このままここに住もうと思ってる。別に今の生活で困ってないし。父さんも一人よりいいでしょ?」
誠さんは、その場では強く言い返せませんでした。しかし、その夜、通帳を見ながら初めて強い恐怖を感じたといいます。
「このままだと、自分の老後が持たないかもしれない」
