(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢の親が一人暮らしを続けている場合、家計の実態は家族にも見えにくいものです。年金や貯蓄で安定しているように見えても、その内側で想定外の支出やトラブルが進行しているケースは少なくありません。とくに近年は、電話やSNSを通じた金銭トラブルも増えており、気づいたときには取り返しがつかない事態に至ることもあります。

「責めても意味がない」家族が取った向き合い方

雅彦さんは当初、強い口調で問い詰めてしまったといいます。

 

「どうしてそんなことをしたんだ、と言ってしまいました」

 

しかし、母の様子を見て、その言葉を後悔しました。

 

「責めても意味がないと思いました。本人も混乱していましたし、悪意があったわけではないので」

 

和子さんは、その後も「返してもらえると思っている」と話しており、被害の全容は完全には把握できていません。

 

「もっと早く気づけたかもしれない、と思うこともあります」

 

雅彦さんはそう語りますが、実際には頻繁に家計を確認することは難しく、多くの家庭で同様の状況が起こり得ます。

 

現在、雅彦さんは母の通帳やカードの管理を一部サポートし、定期的に収支を確認するようにしています。

 

「全部を管理するのではなく、一緒に確認する形にしています」

 

高齢の親の生活を尊重しつつ、リスクをどう防ぐか。そのバランスは簡単ではありません。

 

成年後見制度などの仕組みもありますが、利用には一定のハードルがあり、すべてのケースに適用できるわけではありません。

 

それでも雅彦さんは、「あのとき通帳を見なければ、何も知らないままだったと思います」と振り返ります。

 

表面上はこれまでと変わらない生活が続いていても、その内側で何が起きているのかまでは、家族であっても見えにくいものです。

 

気づいたときには、すでに取り戻せない状態になっていることもある――。今回の出来事は、特別な家庭の問題というよりも「どこにでも起こり得る現実」の一端かもしれません。

 

 

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