「責めても意味がない」家族が取った向き合い方
雅彦さんは当初、強い口調で問い詰めてしまったといいます。
「どうしてそんなことをしたんだ、と言ってしまいました」
しかし、母の様子を見て、その言葉を後悔しました。
「責めても意味がないと思いました。本人も混乱していましたし、悪意があったわけではないので」
和子さんは、その後も「返してもらえると思っている」と話しており、被害の全容は完全には把握できていません。
「もっと早く気づけたかもしれない、と思うこともあります」
雅彦さんはそう語りますが、実際には頻繁に家計を確認することは難しく、多くの家庭で同様の状況が起こり得ます。
現在、雅彦さんは母の通帳やカードの管理を一部サポートし、定期的に収支を確認するようにしています。
「全部を管理するのではなく、一緒に確認する形にしています」
高齢の親の生活を尊重しつつ、リスクをどう防ぐか。そのバランスは簡単ではありません。
成年後見制度などの仕組みもありますが、利用には一定のハードルがあり、すべてのケースに適用できるわけではありません。
それでも雅彦さんは、「あのとき通帳を見なければ、何も知らないままだったと思います」と振り返ります。
表面上はこれまでと変わらない生活が続いていても、その内側で何が起きているのかまでは、家族であっても見えにくいものです。
気づいたときには、すでに取り戻せない状態になっていることもある――。今回の出来事は、特別な家庭の問題というよりも「どこにでも起こり得る現実」の一端かもしれません。
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