ごめんね、お父さん…〈年金月15万円・83歳父〉施設入居が決定。引っ越し前夜に見せた〈優しい笑顔〉に、57歳長女「涙が止まらなかった」ワケ

ごめんね、お父さん…〈年金月15万円・83歳父〉施設入居が決定。引っ越し前夜に見せた〈優しい笑顔〉に、57歳長女「涙が止まらなかった」ワケ
(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢の親が一人で暮らし続けるなかで、「このままで本当に大丈夫なのか」と迷う場面は少なくありません。自宅で過ごさせたいという思いと、安全を優先すべき現実。その間で揺れながら、施設入居という決断に至る家族も多くいます。親のために選んだはずの判断が、なぜか後ろめたさを伴う――そんな複雑な感情に直面するケースもあります。

引っ越し前夜、父が見せた笑顔

施設入居が正式に決まり、引っ越しの前夜。由美さんは父の家で荷物をまとめていました。

 

古いアルバムや使い込まれた湯のみ、母が残した裁縫箱。ひとつ片づけるたびに、父がこの家で重ねてきた年月が浮かび、胸が詰まりました。

 

「お父さん、ごめんね。本当は家にいさせてあげたかった」

 

そう口にすると、正夫さんは少し驚いた顔をしたあと、やわらかく笑ったといいます。

 

「何を謝るんだ。お前がいなかったら、ここまで来られなかったよ」

 

その言葉に、由美さんは涙が止まらなくなりました。

 

「父は、私が追い出したなんて思っていなかったんです。むしろ、ずっと支えてくれたことに感謝してくれていた。その優しい笑顔を見たら、余計につらくなってしまって」

 

施設入居は、親を見捨てる選択ではありません。むしろ、家族だけで抱え込まないための現実的な判断です。とはいえ、感情が簡単に整理できるわけではありません。

 

由美さんは今も、月に何度か父を訪ねています。最初は表情の硬かった父も、職員やほかの入居者との暮らしに少しずつ慣れ、今では食事や入浴のリズムも安定してきたといいます。

 

「家にいた頃より、顔色はいいんです。それでも、あの家を離れさせたのは私だ、という気持ちはどこかに残っています」

 

老いた親の暮らしをどう支えるか。その答えは一つではありません。ただ、無理を重ねて共倒れになる前に、外部の支援につなぐことは、家族にとっても親にとっても大切な選択です。

 

「父の笑顔に救われました。でも、あの夜に流した涙は、たぶん一生忘れないと思います」

 

親のために選んだはずの決断なのに、なぜこんなにも胸が痛むのか。その答えはきっと、親を思う気持ちが本物だったからこそなのでしょう。

 

 

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