(※写真はイメージです/PIXTA)

配偶者の収入に依存した生活は、安定しているように見えても、その前提が崩れた瞬間に大きく揺らぎます。とくに長年専業主婦として家庭を支えてきた場合、再就職のハードルは決して低くありません。想定していなかった「もしも」に直面したとき、生活はどのように変わるのか――その現実が問われる場面は、誰にでも起こり得ます。

「もう一緒にはやっていけない」

その後も、夫婦の間で温度差は埋まりませんでした。夫は節約や将来の備えについて話し合おうとしましたが、真理子さんは「そこまでしなくてもいいのでは」と受け流してしまうことが多かったといいます。

 

次第に会話は減り、家の中の空気も変わっていきました。そしてある日、夫は静かにこう言いました。

 

「もう、これ以上は一緒に暮らせない」

 

それは突然の言葉ではありましたが、振り返れば長い時間をかけて積み重なった不満の結果だったのかもしれません。

 

生活費の支援も徐々に減り、真理子さんは初めて「自分で収入を得る必要」に直面しました。

初めての面接で突きつけられた現実

仕事を探し始めた真理子さん。しかし、すぐに壁にぶつかります。

 

「働いたことがないんです……」

 

面接でそう口にしたとき、自分の置かれている状況を初めて実感したといいます。

 

応募したスーパーでは、シフトや体力面、接客経験について問われてもうまく答えることができず、結果は不採用でした。

 

仮に働けたとしても、すぐに以前の生活水準に戻れるわけではありません。

 

女性短時間労働者の賃金水準はフルタイムと比べて低く、勤務時間も限られています。月収は10万円前後にとどまるケースも少なくありません。

 

「月22万円で暮らしていた生活を、自分一人で支えるのは無理だと分かりました」

 

その後、真理子さんは自治体の相談窓口を訪れ、離婚や生活費に関する制度について知ることになりました。婚姻中であれば生活費の分担(婚姻費用)を請求できる可能性があることや、将来的には財産分与や年金分割といった制度があることも初めて知ったといいます。

 

「何も知らなかったことが、一番怖かったです」

 

現在は清掃のパートとして働き始め、少しずつ生活を立て直しています。

 

「もっと早く、自分でも働ける準備をしておけばよかったと思います」

 

専業主婦という選択自体が問題なのではありません。ただ、その生活が長く続く中で、「もしものとき」に備える視点が抜け落ちてしまうことがあります。

 

「大丈夫だと思っていた前提が崩れたとき、自分がどう動けるか」

 

その問いに向き合うことが、これからの“安心”につながるのかもしれません。

 

 

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