(※画像はイメージです/PIXTA)

中東情勢悪化をはじめとした地政学リスクの高まりや米金融政策の不透明化、米ドルの下落基調など、2026年に入りマクロ環境は大きく変化しています。1月に急落する場面があったものの、2月に1オンス5,250ドルを突破し、「金」は短期金利の低下や金ETFへの資金流入、構造的なドル安の進行を背景に、引き続き堅調な需要を見せています。2026年3月の金市場動向より、高騰を支える要因と今後の展望についてみていきましょう。なお、本稿はステート・ストリート・インベストメント・マネジメントの4名のストラテジストによる共同執筆です。

FRBの方針と利回りが「金ETF需要」を左右する

FRB議長交代で政策不透明化、金に追い風

当社は以前、米連邦準備制度理事会(FRB)の議長交代における政策の不透明性に対する金のヘッジ効果についてレポートを発表しましたが、そのなかで指摘した「政策の不透明性チャネル」が顕在化しているようです。

 

ケビン・ウォーシュ氏が次期FRB議長に指名されたことを受け、市場は今後の金融政策フレームワークを再評価しつつあります。ウォーシュ氏は一貫して、「中央銀行のファストフードを脇に置くべきだ」と主張してきました※12

 

これは、短期的なデータ・サプライズへの過度な依存、過剰なフォワード・ガイダンスおよび戦術的なメッセージの発信を避け、より明確なマンデートと規律ある政策運営を重視することを意味します。同氏がこれまで、信頼性、抑制的な市場介入、データに対する謙虚な姿勢を重視してきたことを受け、市場が低成長・低インフレの環境を織り込みやすくなる可能性があります。

 

こうした状況は歴史的に、短期利回りの低下と金などの実物資産ヘッジに対する需要の増加と連動してきました。

 

2026年1月30日に新たなFRB議長が発表されて以降、2年物米国債利回りは12~15bp程度低下し、2年物米国債利回りと政策金利(フェデラルファンド金利)の誘導目標レンジ上限との差は再び拡大し始めています※13。これは早期緩和シナリオに向けたポジション調整がすでに始まっていることを示唆している可能性があります。

 

短期金利が引き続き低下した場合、短期金利のボラティリティは低下すると見込まれます。それに伴い、実質および名目金利の低下に対して正のコンベクシティを有する、金裏付けETFなどの資産へ資金移動する機会が生じるものとみられます。

 

短期金利低下が金ETFを押し上げる構図

歴史的に見て、短期利回りの低下と金ETFへの大量の資金流入は同時発生することが多くありました。図表2が示すとおり、ブルームバーグが算出する既存の金ETFの総保有高は、2年物米国債利回りの低下に伴って増加する傾向にあります。

 

2026年の金融緩和の道筋がより大きく市場に織り込まれた場合、「期待実質金利の低下→金ETF保有高の増加→現物市場のひっ迫化→金価格への上昇圧力」というよく知られたフィードバック・ループが再び現れる可能性があります。

 

[図表3]米ドルは長期的なサポート水準を試している★3

 

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〈ご留意事項〉
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本稿に示されている見解は2026年3月2日時点のSPDRゴールド戦略チームの見解であり、市場やその他の状況によって変わる場合があります。本資料には、将来の見通しと見なされる可能性のある記述が一部含まれています。その様な記述は、将来のパフォーマンスを保証するものではなく、実際の結果や展開はこれら予想とは大きく異なる場合がある点にご注意ください。

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コモディティへの投資は大きなリスクを伴うため、すべての投資家に適した投資対象ではありません。

過去の実績は、将来の投資成果を保証するものではありません。

本資料は、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントが作成したものをステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社が和訳したものです。内容については原文が優先されることをご了承下さい。

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〈注記〉
※1 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 02/27/2026
※2 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 02/27/2026
※3 Source:World Gold Council, SSIM, as of 02/28/2026
※4 Source:Morningstar, World Gold Council, State Street Investment Management, as of 12/31/2025
※5 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 02/27/2026
※6 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 02/27/2026
※7 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 02/27/2026
※8 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 02/27/2026
※9 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 12/31/2025
※10 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 12/31/2025
※11 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 02/27/2026
※12 Source:Remarks by Kevin Warsh –Commanding Heights: Central Bank at a Crossroads IMF Lecture Hosted by G30, as of 04/25/2025
※13 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 12/31/2025
※14 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 12/31/2025
※15 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 02/27/2026
※16 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 02/27/2026
※17 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 12/31/2025
※18 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 02/27/2026
※19 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 12/12/2025

〈出所〉

★1 出所:ブルームバーグ・フィナンシャル L.P.、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント(2016年1月~2026年2月)。注記:データはローリング時系列における実現30日価格ボラティリティ(年率)を示しています。

★2 出所:ブルームバーグ・フィナンシャル L.P.、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント 2026年2月28日時点

★3 出所:ブルームバーグ・フィナンシャル L.P.、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント。データは2026年2月28日時点。米ドルはスポットの米ドル指数で示されています。記載されているパフォーマンスデータは過去のパフォーマンスです。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。

〈用語集〉
中央銀行:1つの国または国家連合で用いられる通貨と信用の創造と分配を独立性を持って管理する金融機関。

COMEX:コモディティ(主に金、銀、銅、アルミニウム)の先物を取引する市場

金のスポット価格:スポット市場における金の価格。国際的通貨コード「XAU」で表記される、1トロイオンス当たりの金価格。米ドル建て。

実質金利:インフレ調整後の金利。物価上昇の影響を取り除くことで、真の借入れコストおよび投資による実際の利回りを反映します。

RSI(Relative Strength Index:相対力指数):直近の価格変動の速さと大きさを、0から100の尺度で測定するモメンタム指標。一般に70を超えると買われ過ぎ(過熱)とされ、30を下回ると売られ過ぎと判断されます。

レフトテール・ヘッジ:株式急落、政策ショック、通貨の不安定化など、極端に悪い市場結果(下振れ)からポートフォリオを守るためのポジション。金は、市場全体におよぶストレス局面における過去のパフォーマンスから、レフトテール・ヘッジとして位置づけられることが多いです。

30日移動平均ボラティリティ:資産の過去30日間のリターンの年率換算標準偏差を測定、変動するリスクを示すため毎日更新されます。価格変動の激しさを定量し、値が高いほどリスクが大きいことを示します。

G10通貨インプライド・ボラティリティ:G10通貨(オーストラリア・ドル、カナダ・ドル、スイスフラン、ユーロ、ポンド、円、ノルウェー・クローネ、ニュージーランド・ドル、スウェーデン・クローナ、米ドル)ペアの将来の価格変動幅に対する市場の先行き予想を示します。

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