イラン情勢緊迫化で1オンス5,500~5,600ドルを再び試す可能性も…〈安全資産〉金の強気材料【3月の金市場】
(※画像はイメージです/PIXTA)
中東情勢悪化をはじめとした地政学リスクの高まりや米金融政策の不透明化、米ドルの下落基調など、2026年に入りマクロ環境は大きく変化しています。1月に急落する場面があったものの、2月に1オンス5,250ドルを突破し、「金」は短期金利の低下や金ETFへの資金流入、構造的なドル安の進行を背景に、引き続き堅調な需要を見せています。2026年3月の金市場動向より、高騰を支える要因と今後の展望についてみていきましょう。なお、本稿はステート・ストリート・インベストメント・マネジメントの4名のストラテジストによる共同執筆です。
「構造的ドル安」が引き続き金需要を押し上げる
米ドルは2025年に約9.4%下落し、年間下落率としては2017年以来最大となりました。これは1971年に米国が金本位制を停止して以来、9番目に大きな下落率となります※14。
2025年の米ドル安は、金のドル建て価格に起因する米ドルとの長年の逆相関を反映し、2025年に金価格が上昇する主な要因となりました。その後、米ドルは1月下旬に4年ぶりの安値を更新し、足元では1980年以降の長期平均と15年来のトレンドラインの双方を試す展開となっています※15。
3月には米ドルを安全資産として買い戻す動きがありましたが、米ドルが節目となる水準を明確に割り込んだ場合は、構造的な米ドル安局面の始まりを示唆する可能性があります。その場合は、歴史的に見て持続的な金需要を支える環境となります。
ドル離れが進み、各国で金の保有が急増
金融制裁の対象先を広げる動きにより資金を米ドルから金に移す分散投資が加速しており、世界の外貨準備に占める米ドルの割合は1994年以来の低水準(約40%)まで低下する一方、金の割合は1991年以来の高水準(約30%)まで上昇しています※16。
2025年末時点で、米ドルの準備高は前年比約12%減少した一方で、金の準備高は前年比約40%増加しています※17。
米ドル下落バイアス強く、金に有利な環境
米ドルは、1月後半にG7間金利との乖離が一時的に生じた後は安定し、G7の金利格差が示唆する水準まで戻りましたが、全体としてのバイアスは依然として下方向です※18。米国債カーブのスティープ化、米財政赤字の拡大、対外政策と貿易政策に関する不透明感の高まりが相まって、マクロ環境は米ドルに不利な方向へ傾いています。
これは、米国債に対する海外投資家の需要に影響を及ぼす可能性があります。
コンセンサス予想では、米ドルは2026年末にかけてさらに3%程度下落すると見込まれ※19、目先のコンセンサスリスクは、米ドルの持続的な安全資産としての反発ではなく、米ドルが再び下落方向に傾いていることを示しています。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください。
Aakash Doshi(Head of Gold Strategy)、Mohanad Abukhalaf (Gold Strategist)、Diego Andrade(Senior Gold Strategist)、アーロン・チャン(ゴールド・ストラテジスト)
【注目のセミナー情報】
【国内不動産】3月21日(土)オンライン開催
税理士YouTuberヒロ☆氏が解説!
年間400万円の手取りUPも!?高所得者の「所得税対策」
【国内不動産】3月28日(土)オンライン開催
札幌希少エリアで実現!
民泊×セカンドハウス「ハイブリッド型」不動産投資
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントは、約半世紀にわたり、機関投資家、金融プロフェッショナル、そして個人投資家に、より良い成果をもたらしてきた。
インデックス運用やETF(上場投資信託)分野における早期からの取り組みを含め、同社の投資手法は、市場に裏付けられた運用ノウハウと、投資家ニーズへの継続的な対応を基盤としている。
2025年6月末時点において、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントが関与する運用資産残高は5兆米ドルを超えており、60カ国以上の顧客に対してサービスを展開している。その中には、グローバル規模での戦略的パートナーシップを通じた提供も含まれ、コスト効率に優れた幅広い投資手段を提供している。ETFの運用資産総額1兆6,898.3億米ドルを含み、そのうち約1,160.5億米ドルは、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ・ファンズ・ディストリビューターズ・エルエルシー(「SSGA FD」)がマーケティング・エージェントを行っているSPDRの金の資産となっている。SSGA FDはSSGAの関連会社で、すべての運用資産残高は監査前の数値。
なお、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントは、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社が行う資産運用関連業務のブランド名である。
ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント公式ホームページ
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載【ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント】金市場を徹底分析
〈ご留意事項〉
本書は、投資の推奨や投資アドバイスを意図したものではなく、そのようなものとして依拠されるべきではありません。
本稿に示されている見解は2026年3月2日時点のSPDRゴールド戦略チームの見解であり、市場やその他の状況によって変わる場合があります。本資料には、将来の見通しと見なされる可能性のある記述が一部含まれています。その様な記述は、将来のパフォーマンスを保証するものではなく、実際の結果や展開はこれら予想とは大きく異なる場合がある点にご注意ください。
提供された情報は、投資助言に該当するものではなく、そのようなものとして依拠されるべきではありません。本情報は、有価証券の購入の勧誘または売却の申出とみなされるべきものではありません。本情報は、投資家の特定の投資目的、戦略、税務上の地位または投資期間を考慮したものではありません。ご自身の税務・財務アドバイザーにご相談ください。
ここで言及されている商標およびサービスマークは、それぞれの所有者の所有物です。第三者のデータ提供者は、データの正確性、完全性または適時性に関していかなる保証または表明も行わず、また、かかるデータの使用に関連するいかなる種類の損害に対しても責任を負いません。
当社の書面による明示的な同意なしに、本著作物の全部または一部を複製、複写もしくは送信し、または第三者に開示することはできません。
コモディティやコモディティ指数に連動した証券は、全体的な市場動向の変化や金利の変化、さらには天候、疾病、通商停止や政治的ないし規制的な展開、対象コモディティに係る投機者や裁定者の取引活動など、他の要因の影響を受けます。
コモディティへの投資は大きなリスクを伴うため、すべての投資家に適した投資対象ではありません。
過去の実績は、将来の投資成果を保証するものではありません。
本資料は、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントが作成したものをステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社が和訳したものです。内容については原文が優先されることをご了承下さい。
ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社
金融商品取引業者関東財務局長(金商)第345号
加入協会:一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人投資信託協会、日本証券業協会
©2026 State Street Corporation.
7620090.13.1.APAC.RTL Exp date:3/31/2027
〈注記〉
※1 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 02/27/2026
※2 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 02/27/2026
※3 Source:World Gold Council, SSIM, as of 02/28/2026
※4 Source:Morningstar, World Gold Council, State Street Investment Management, as of 12/31/2025
※5 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 02/27/2026
※6 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 02/27/2026
※7 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 02/27/2026
※8 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 02/27/2026
※9 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 12/31/2025
※10 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 12/31/2025
※11 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 02/27/2026
※12 Source:Remarks by Kevin Warsh –Commanding Heights: Central Bank at a Crossroads IMF Lecture Hosted by G30, as of 04/25/2025
※13 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 12/31/2025
※14 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 12/31/2025
※15 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 02/27/2026
※16 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 02/27/2026
※17 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 12/31/2025
※18 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 02/27/2026
※19 Source:Bloomberg Financial L.P., SSIM, as of 12/12/2025
〈出所〉
★1 出所:ブルームバーグ・フィナンシャル L.P.、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント(2016年1月~2026年2月)。注記:データはローリング時系列における実現30日価格ボラティリティ(年率)を示しています。
★2 出所:ブルームバーグ・フィナンシャル L.P.、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント 2026年2月28日時点
★3 出所:ブルームバーグ・フィナンシャル L.P.、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント。データは2026年2月28日時点。米ドルはスポットの米ドル指数で示されています。記載されているパフォーマンスデータは過去のパフォーマンスです。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。
〈用語集〉
中央銀行:1つの国または国家連合で用いられる通貨と信用の創造と分配を独立性を持って管理する金融機関。
COMEX:コモディティ(主に金、銀、銅、アルミニウム)の先物を取引する市場
金のスポット価格:スポット市場における金の価格。国際的通貨コード「XAU」で表記される、1トロイオンス当たりの金価格。米ドル建て。
実質金利:インフレ調整後の金利。物価上昇の影響を取り除くことで、真の借入れコストおよび投資による実際の利回りを反映します。
RSI(Relative Strength Index:相対力指数):直近の価格変動の速さと大きさを、0から100の尺度で測定するモメンタム指標。一般に70を超えると買われ過ぎ(過熱)とされ、30を下回ると売られ過ぎと判断されます。
レフトテール・ヘッジ:株式急落、政策ショック、通貨の不安定化など、極端に悪い市場結果(下振れ)からポートフォリオを守るためのポジション。金は、市場全体におよぶストレス局面における過去のパフォーマンスから、レフトテール・ヘッジとして位置づけられることが多いです。
30日移動平均ボラティリティ:資産の過去30日間のリターンの年率換算標準偏差を測定、変動するリスクを示すため毎日更新されます。価格変動の激しさを定量し、値が高いほどリスクが大きいことを示します。
G10通貨インプライド・ボラティリティ:G10通貨(オーストラリア・ドル、カナダ・ドル、スイスフラン、ユーロ、ポンド、円、ノルウェー・クローネ、ニュージーランド・ドル、スウェーデン・クローナ、米ドル)ペアの将来の価格変動幅に対する市場の先行き予想を示します。