子や孫への節税のつもりが“なかったこと”に…2031年から本格始動、「生前贈与加算」7年ルールの恐怖。あと5年で相続税が増える人・増えない人の線引き【税理士が解説】

子や孫への節税のつもりが“なかったこと”に…2031年から本格始動、「生前贈与加算」7年ルールの恐怖。あと5年で相続税が増える人・増えない人の線引き【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

相続税負担を抑えようと、「年110万円以内」の生前贈与を行っている人は多いでしょう。しかし、令和6(2024)年以降は、生前贈与を受けた財産を相続税の課税対象に加える加算期間がじわじわ伸びていることをご存じでしょうか。いくつかの具体例を交えて、生前贈与加算の「7年ルール」のしくみと注意点についてみていきましょう。

相続開始年に配偶者控除が使えない場合の「特例」

吉田課長「3(3)②の『配偶者が相続開始の年において贈与税の配偶者控除の規定の適用を受けようとした場合』というのがわかりにくいのですが……どういうことですか?」

 

これは、妻が贈与税の配偶者控除を使う予定で、夫が亡くなる前に夫から居住用不動産の贈与を受けていた場合の取扱いを指しています。

 

この規定を理解する前提として、次のルールがあります。

 

「相続開始の年に被相続人から贈与を受けた財産は、贈与税ではなく相続税が課税される(相続税法21条の2第4項)」

 

このため、相続開始の年に贈与を受けた場合は、贈与税の配偶者控除(最高2,000万円非課税)を使うことができません。

 

しかし、これでは「すでに配偶者控除を使った人」と「使う予定だったが、相続開始の年になってしまったため使えなかった人」のあいだで不公平が生じます。この不公平を解消するために設けられたのが、前掲3(3)②の規定です。

 

◆基礎控除内でも加算対象となる贈与

吉田課長「贈与税の基礎控除額との関連で質問します。たとえば、子どもである相続人が、父親(被相続人)から相続開始の2年前に50万円の贈与を受けていた場合はどうなりますか?」

 

50万円は、贈与税の基礎控除額110万円以内なので、贈与税はかかりませんし、申告も不要です。

 

ただし、相続財産への加算規定は、贈与金額の多寡で決まるものではありません。適用があるかどうかは、その贈与が「非課税贈与」に該当するかどうかで判断されます。たとえば、「扶養義務者間の生活費」や「教育費」など、通常必要な範囲の資金援助は贈与税が非課税とされています(相続税法21条の3)。

 

しかし、これらに該当しない贈与であれば、金額が少なくても加算の対象になります。

「税務調査」では最長7年分の預金動向がチェックされる

吉田課長「被相続人になる父親の預金通帳が気になりますね」

 

相続税の税務調査では、相続財産への加算規定の適用の有無を確認するため、被相続人の預金通帳の動きを前もって詳細に確認します。

 

その過程でもし数十万円単位の出金があれば、その目的や使途について、同居していた配偶者や子どもに質問が行われます。生活費としての出金なのか(課税なし)、誰かへの贈与目的なのか、といった点を確認するためです。

 

もし、加算対象期間内に相続人等へ贈与したと認定されれば、相続財産への加算規定が適用され、「申告漏れ」として扱われます。確認対象となる期間は、相続開始の時期によって異なりますが、相続開始前3年から最長7年に及びます(前掲1(2)①~③)。

 

このように、最大7年前の預金の動きを説明する必要があるため、まとまった金額を出金する際には、通帳に出金目的をメモしておくとよいでしょう。

 

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