●政策金利は据え置きへ、声明は原油高に関する表記や利上げの議案提出の有無が注目される。
●植田総裁は記者会見で中東情勢を注視しつつも利上げ継続姿勢を維持する公算大とみている。
●弊社は利上げ予想を再検討中、春闘や短観、支店長会議で賃金や景況感の見極めが重要に。
政策金利は据え置きへ、声明は原油高に関する表記や利上げの議案提出の有無が注目される
日銀は3月18日、19日に金融政策決定会合を開催します。弊社は無担保コール翌日物金利の誘導目標(現行0.75%程度)について、大方の見方と同じく、2会合連続の据え置きを予想しています。市場の関心は引き続き日銀の次の利上げ時期にあり、植田和男総裁の記者会見で、何らかの手掛かりが示されるか否かに注目が集まっています。以下、この点について整理します。
まず、声明については、足元の原油高が景気や物価に与える影響の表記が1つの焦点となっています。ただ、今回は「影響を注視する」程度にとどめ、イラン情勢を巡る混乱が続いた場合、次回4月会合の「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」で詳細な見方を示す可能性が高いと思われます。また、利上げの議案提出(前回1月会合では高田創審議委員が提出)有無も焦点で、3月18日の春闘集中回答日の賃上げ動向は重要な材料と考えます。
植田総裁は記者会見で中東情勢を注視しつつも利上げ継続姿勢を維持する公算大とみている
次に、植田和男総裁の記者会見については、やはり、原油高が政策判断に与える影響について多くの質問が予想され、それに対する植田総裁の回答が注目されます。これに関しては、3月4日に開催された衆議院財政金融委員会での植田総裁の答弁が参考になると思われます(図表1)。植田総裁はこの日、中東情勢の展開次第で、エネルギー価格や金融市場への影響を介し、「世界経済や日本経済に大きな影響を与える可能性がある」と述べました。
また、中東情勢については、その影響を引き続き注視するとした上で、「経済・物価情勢が改善し、日銀の中心的見通しが実現するなら、引き続き政策金利を引き上げ、緩和度合いを調整する」との見解を示しました。植田総裁はおそらく今回の記者会見においても、これと同様の趣旨の発言をするとみられ、中東情勢を注視しつつも、利上げ継続姿勢を維持する公算が大きいと考えます。
弊社は利上げ予想を再検討中、春闘や短観、支店長会議で賃金や景況感の見極めが重要に
なお、3月11日時点の市場が織り込む25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げ確率をみると、イラン攻撃開始前の2月27日時点よりおおむね低下しているものの(12月会合は上昇)、極端に低下している訳ではありません(図表2)。弊社は日銀が4月に25bpの利上げを行うと予想していましたが、イラン情勢の悪化が1カ月以上続く可能性が高まりつつあるため、利上げ時期を遅らせることを検討しています。
米国・イスラエルとイランの交戦がいつまで続くか、原油相場がいつ安定するかは、極めて見通しにくい状況です。こうしたなか、日銀の金融政策を考えるにあたっては、前述の3月18日の春闘集中回答日や、4月1日発表予定の日銀短観、そして4月上旬の支店長会議を通じ、高い賃金の伸びが確認されるか、原油高が企業の景況感や地域経済にどの程度影響しているか、これらの見極めが重要になると思われます。
※当レポートの閲覧にあたっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2026年3月日銀政策会合プレビュー~今回の注目点を整理する【三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』を参照)。
市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフマーケットストラテジスト
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