「公的年金」は65歳から受給開始ですが、時期を繰り下げて受け取ることが可能です。恒久的な受給額の増加や最大5年分の一括受給など、魅力的なメリットがある一方、知らないと損する注意点もあります。本記事では、服部貞昭氏の著書『知れば知るほど得する年金の本』(三笠書房)から一部を抜粋・編集し、年金の「繰り下げ受給」の仕組みについて解説します。
繰り下げ受給の注意点
ただし、注意点が2つあります。
1つ目の注意点は、さかのぼってもらえるのは最大で5年前までであることです。年金の時効は5年ですので、5年より前の分はもらえません。たとえば、72歳になった時点で繰り下げをやめた場合、67歳からの5年分だけ一括でもらえます。65歳から67歳までの2年分は残念ながらもらえません。
2つ目の注意点は、過去の分を一括でもらうと、過去の各年の年金収入(所得)が増えることになり、原則、各年の修正申告が必要になることです。修正申告をするとともに、足りなかった税金を追加で支払いますが、延滞税も発生します。また、過去にさかのぼって医療保険・介護保険の自己負担や保険料等にも影響が生じる可能性があります。
過去分を一括でもらうより年金として毎年少しずつもらったほうが、税金と社会保険料は安いので、最初からさかのぼるつもりで繰り下げることはやめたほうがいいでしょう。
服部 貞昭
新宿はっとりFP事務所 代表
エファタ株式会社 取締役
ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
新宿・はっとりFP事務所 代表
エファタ株式会社 取締役
長野県須坂市生まれ。数字と数学が大好きで6歳のときから現金出納帳をつけ始める。中卒の父から「サラリーマンでは金持ちになれない」と教えられ、中学2年生で起業を志す。経済や会計への関心から、学生時代には簿記のオンライン掲示板を自作し運営していた。
東京大学工学部卒業後、KDDIにてシステムエンジニアとして勤務。2014年に独立し、現在はファイナンシャル・プランナーとして、お金に困っている人の相談にのりながら、身近なお金に関する情報発信に携わる。ライフマネー・税金・相続関連のオウンドメディアを複数運営、総合月間150万PV超。これまでに2,000本以上の記事を執筆・監修。登録者10万人超のYouTubeチャンネル「お金のSOS」をはじめ、「ZEIMO」など4つのマネー系チャンネルを運営し、累計再生回数2,200万回を超える。
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