(※写真はイメージです/PIXTA)

老後の生活に備え、多くの人が貯蓄や年金の準備を進めています。金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査(2023年)』によると、60歳代の二人以上世帯の金融資産保有額(平均)は2,026万円。しかし、資金が一定程度あっても、実際の生活では「お金を使うこと」そのものに不安を感じる人も少なくありません。老後資金への不安が広く共有されるなかで、必要以上に支出を控える生活を続ける高齢者もいます。そうした選択が、思いがけない形で老後の暮らしに影響することもあります。

老後の生活で見落としがちなもの

高齢期の暮らしでは、収入と支出のバランスが重要です。

 

一方で、生活の質や社会とのつながりも大きな要素になります。内閣府『高齢社会白書』では、高齢者の社会参加や交流が生活満足度と関係していることが示されています。山本さん夫妻も、そのことを少しずつ感じるようになりました。

 

「お金を守ることばかり考えていた気がします」

 

その後、夫妻は少し生活を変えました。

 

月に一度は外食をするようになり、近場の温泉にも出かけました。大きな支出ではありませんが、生活の中に楽しみが戻ってきたといいます。

 

「思っていたより、お金は減らなかったんです」

 

妻は笑います。むしろ変わったのは、生活の雰囲気でした。

 

「家で話すことが増えました」

 

それまではテレビを見ながら食事をすることが多かったところ、思い出話で盛り上がることも増えたといいます。

 

老後の資金管理は重要です。ただ、使わないことだけが安心につながるとは限りません。

 

「もう少し早く気づいてもよかったかもしれません」

 

貯蓄を守ることと、生活を楽しむこと。そのバランスは簡単ではありません。ただ、老後の時間は限られています。

 

「お金を残すことより、今の時間をどう過ごすかのほうが大事かもしれませんね」

 

 

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