夫の年金が消えた後に残った現実
夫婦で暮らしていた頃は、2人分の年金を合わせて月18万円ほどありました。持ち家で家賃負担はありませんでしたが、食費や光熱費、固定資産税、通院費を考えると、決して余裕のある暮らしではなかったといいます。
それが夫の死後は、自身の年金だけになりました。
「夫がいなくなったら食費は少し減るだろう、くらいに思っていたんです。でも、光熱費も税金も、医療費も、ひとりになったからといって大きくは減りませんでした」
総務省『家計調査(2024年)』では、65歳以上の単身無職世帯の消費支出は月14万9,286円、可処分所得は月12万1,469円で、平均では赤字です。高齢の一人暮らしは、収入と支出の差が出やすい構造にあります。
道子さんのように、高齢期に配偶者を亡くして一人暮らしになる女性は珍しくありません。内閣府『令和7年版 高齢社会白書』では、65歳以上の一人暮らしは増加傾向にあり、2025年時点で女性は25.4%を占めると推計されています。
高齢の女性単身世帯が増えるなか、遺族年金や老齢年金の仕組みを十分に理解しないまま配偶者を亡くし、生活設計の見直しを迫られるケースも今後さらに増えるとみられます。
道子さんはいま、支出を見直しながら暮らしています。幸い、すぐに生活できなくなる状況ではありませんが、「夫の死後に初めて制度を知った」ことへの悔いは残っているといいます。
「遺族年金って、夫が亡くなった妻ならもらえるものだとばかり思っていました。ちゃんと調べておけばよかったんです」
年金制度は複雑で、とくに遺族年金は亡くなった人の加入歴と、遺された側の年齢や家族状況で結論が変わります。「その時が来てから確認する」のでは遅い場合があるのです。
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