日記に書かれていた兄の秘密
それは、兄の“資産日記”です。日付ごとに銀行や証券口座の残高が詳細に書かれていました。「資産1億円突破」とのメモもあり、家族は驚愕しました。
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〇月×日
・A銀行(ネットバンク):〇,〇〇〇,〇〇〇円
・B銀行(メガバンク):〇,〇〇〇,〇〇〇円
・C証券(ネット証券):〇〇〇,〇〇〇,〇〇〇円
計:●●●,●●●,●●●円
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「まさか、ここまで貯めていたなんて……」
唖然としたA子さん。両親は、兄がお金を貯めていないのではないかと心配していたため、その驚きはひとしおでした。
兄には配偶者や子がいないため、財産の相続人は両親(父・母)です。両親は銀行や証券会社への問い合わせ、口座の解約や相続手続き、税務署への届出など、必要な手続きを慎重に進め、専門家やA子さんの手を借りて無事に完了させました。
貯めたお金を使えないまま逝く、という可能性
兄の遺産をそれぞれ引き継いだ両親。相続税などを差し引いても、まだ1億円以上残ります。ともに76歳、年金の慎ましい暮らしでしたが、高級老人ホームに入れるほどのお金を手にいれました。しかし、複雑な想いを口にします。
「まさか親より先に死ぬなんて。あの子が我慢して貯めたお金だと思うと、どんな気持ちで使っていいのかわかりません」
A子さんもまた複雑でした。両親の介護費用などの不安は消え、両親が兄の資産を使い切らなければ、いずれ自分のところに回ってくるかもしれません。
「ありがたい話ではあるけれど……。それよりも、節約ばかりしてきた兄は幸せだったのかな。そればかり考えてしまいます」
A子さんが直面した出来事は、現代の老後資金の難しさを象徴しています。節約して資産を積み上げることは、決して間違いではありません。老後に自助努力を求められる今、先のことを考えて、つい目の前の楽しみを我慢してしまう……そんな人も少なくないでしょう。
しかし、使わずに貯めるだけ。それで終わる可能性もある。もしものときのことを考えれば、「貯める努力」と「使う勇気」のバランスこそが大切なのかもしれません。
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