(※写真はイメージです/PIXTA)

かつて、子どもは老後の「最大の資産」でした。しかし、現代において親子関係の希薄化は、家計調査の統計以上に深刻なスピードで進んでいます。長年の確執の果てに、法的・経済的な手段で一方的に親子関係を絶たれる――。そんな壮絶な別れを経験したとき、突きつけられるのは「独りで生きるための冷徹な収支計算」です。本記事では、波多FP事務所の代表ファイナンシャルプランナー・波多勇気氏が、田所よし子さん(仮名)の事例から、自立した老後設計を構築するためのマインドセットを整理します。※相談者の許可を得て、プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更して記事化しています。

弁護士から届いた封書と、200万円の意味

そんなよし子さんのもとに昨秋、一通の内容証明郵便が届きました。差出人は都内の法律事務所。中を開くと、雅人さんの代理人弁護士からの通知書でした。

 

「今後一切の連絡を控えていただきたい。つきましては、解決金として200万円をお振り込みします。受領をもって、双方の関係を清算するものとします」

 

日本の法律では、親子間の法的な絶縁は認められていません。戸籍上の親子関係を解消する手段は、養子縁組の離縁など極めて限定的です。しかし、弁護士を通じた事実上の絶縁は存在します。直接の接触を拒否し、金銭で関係を清算する――。法律の隙間をつくような手法ですが、実態として、これで親子の縁が断たれるケースです。

 

ファイナンシャルプランナーとしての視点でみると、この「200万円」という金額は、非常に微妙なラインです。78歳女性の平均余命はおよそ13年。よし子さんの年金は月12万円で、年間144万円。総務省の家計調査(2023年)によれば、65歳以上の単身無職世帯の平均消費支出は月およそ14万5,000円です。つまり、毎月約2万5,000円の赤字が出る計算になります。年間で30万円、13年間で約390万円の不足が見込まれます。

 

よし子さんの預貯金は約350万円。ここに200万円が加わっても550万円。一見すると390万円の不足を上回りますが、ここには介護費用が含まれていません。生命保険文化センターの調査(2024年度)では、介護にかかる一時的な費用の平均は47万円、月額費用は平均9万円、平均介護期間は約4年7ヵ月です。仮に要介護状態になれば、総額で約540万円が必要になる計算で、それだけで蓄えが吹き飛ぶ可能性があります。

 

「200万円って、息子にとって私はその程度の存在だったのかなって。お金の問題じゃないのに、お金で突きつけられると、余計に惨めでした」

 

よし子さんはそういって、手元の湯呑みをじっと見つめていました。

 

こうした親子間の金銭トラブルは、統計に現れにくいみえない老後リスクです。実態たおして、「いざとなれば子どもが助けてくれる」という前提で老後の資金計画を立てている高齢親も少なくありません。しかし、PGF生命の調査(2024年)では、別居親子のうち12%が「昨年、1回も親に会いに行かなかった」と回答しており、親子関係の希薄化は確実に進んでいます。家族の支援を老後資金の柱に据えること自体が、もはやリスクになり得る時代なのです。

 

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