愛娘の告白「結婚はしません。子どもは産みます」
橘さん(仮名/67歳)は、地方銀行の元支店長として38年間勤め上げ、退職後は厚生年金を月約22万円受給しています。妻(65歳)も元教員で、年金は月約14万円。夫婦合わせた月収は36万円を超え、両親の相続が発生したこともあり、自宅のほかに金融資産は約1億1,500万円。傍からみれば、まさに「老後の勝ち組」です。
一人娘(34歳)は、都内の有名私立大学を卒業後、外資系コンサルティング会社に勤務。月収は100万円で、橘さんが懇意にしていた取引先の御曹司との縁談も、水面下で進んでいました。
「私に似ず、妻似の美人でね。親バカですが、欠点のない娘でした。来月、先方のご両親にもお会いする予定でしたので、私も楽しみにしていたんです」と橘さんは当時を振り返ります。
ところがその縁談の話し合いを翌週に控えた日、娘が実家を訪ねてきました。食事のあと、改まった様子でこう切り出したのです。
「お父様、実はご相談があって……」
続いて告げられたのは、妊娠5ヵ月であること。そして、相手は職場の同僚である外国籍の男性であること。さらに、結婚はせず、子どもは産み育てるつもりであるということでした。
「妻は事前に知っていたようでした。私だけが、なにも知らなかった」
橘さんはしばらく言葉が出なかったといいます。喜びよりも先に、頭の中を駆け巡ったのは「相続はどうなる」「世間への説明は」「取引先のご縁談は」という現実的な問いでした。

