(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢期の家計は「年金の範囲で慎ましく暮らすもの」というイメージがあります。しかし実際には、年金だけでは支出をまかないきれず、借入に頼る高齢者も存在します。また、総務省『家計調査(2024年)』によれば、高齢夫婦のみの無職世帯は可処分所得平均22.2万円に対し、消費支出は25.6万円と、月約3.4万円の赤字構造にあります。老後の家計は、決して余裕ばかりではないのです。

通帳を見た夜、長男が凍りついた理由

健一さんが凍りついたのは、借金額そのものだけではありません。通帳には、消費者金融への返済と同時に、毎月3万円の振込履歴がありました。振込先は、数年前に起業したという知人男性。

 

「投資の話を持ちかけられてな。必ず増えると言われた」

 

いわゆる高齢者を狙った投資詐欺の可能性も否定できません。警察庁の発表では、高齢者を中心とした特殊詐欺の被害額は依然として高水準で推移しています。孤独や不安につけ込まれるケースは後を絶ちません。

 

健一さんは現在、父とともに弁護士へ相談し、任意整理の方向で手続きを進めています。

 

「怒りもありました。でも、父は誰にも弱音を吐けなかったんだと思います」

 

高齢者の借金は、「浪費」ではなく「孤立」から始まることもあります。家族に迷惑をかけたくない、弱さを見せたくない。その心理が、結果として事態を悪化させてしまうのです。

 

老後の安心は、収入の額面だけでは測れません。家族との対話、早期の相談、制度の活用。問題が小さいうちに共有することが、何よりの予防策です。

 

高齢期の家計は、静かに崩れていくことがあります。その兆しに気づけるかどうかが、家族の未来を左右するのです。

 

 

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