「お前には関係ない」父の強い拒絶
「通帳、ちょっと見せてくれない?」
そう切り出したのは、都内在住の会社員・健一さん(仮名・46歳)です。きっかけは、実家のポストに届いていた見慣れない封筒でした。差出人は消費者金融会社。
74歳の父・正一さん(仮名)は、年金月21万円で一人暮らしをしています。持ち家で住宅ローンはありません。健一さんは「生活は何とか回っているはず」と思っていました。
しかし父は怒鳴ります。
「お前には関係ない。俺の金のことだ」
その一言に、健一さんは胸騒ぎを覚えました。
父の外出中、机の引き出しにしまわれていた明細を見つけます。そこには、消費者金融3社からの借入残高が記載されていました。
合計420万円。月々の返済額は約7万円。年金の3分の1近くが返済に消えていました。
「どうしてこんなことに…」
問い詰めると、父は小さな声で言いました。
「最初は10万円だけ借りたんだ。医療費がかさんでな」
白内障手術、歯の治療、家電の買い替え。少額の借入が、気づけば雪だるま式に膨らんでいたのです。
厚生労働省『国民生活基礎調査(2024年)』によれば、高齢者世帯のうち「生活が苦しい」と感じている割合は55.8%にのぼります。年金を受け取っていても、不安や逼迫感を抱える世帯は決して少なくありません。
正一さんも、「年金21万円」という数字だけ見れば安定しているように映ります。しかし固定資産税、光熱費、物価高、医療費が重なり、じわじわと家計を圧迫していました。
「自己破産も選択肢だと弁護士に言われました」
消費者金融の借入は利息制限法の範囲内であれば合法です。しかし返済が困難になれば、任意整理や個人再生、自己破産といった法的整理の検討が必要になります。
