今回は、税務調査官が「e‐チケットと領収書の一致」を確認する理由を見ていきます。※本連載では、税理士・加藤武人氏の著書『ベテラン調査官はここを見てる―「対話方式による52事例」で読み解く!税務調査のチェックポイント集』(大蔵財務協会)の中から一部を抜粋し、事例をもとに、調査官が注目するポイントを紹介します。

入国管理局の記録と領収書で出入国を確認

〔調査事例〕

調査官は、入国管理局で確認した出入国記録と、領収書で確認した出入国の記録を照合し、一致しているか確認する。

 

⑴e-チケットの確認と保存をしているか?

調査官は、総勘定元帳を見ながら「社長さん、旅費交通費の中に航空券代の支払いとして、○月○日に消費税の課税取引の支払いが150,000円あります。○月○日に消費税の不課税取引の支払いが150,000円あります。この内容を説明していただけませんか」と。

 

《経営者》そうそう、その航空券代の1つは国内の営業先との契約のための出張費用で、もう一方は、海外の展示会に出向いたときの出張費用です。

 

《調査官》経理担当者Aさん、ところでパスポートを確認したことはありますか。また、領収書のほかe-チケットの確認と保存をしていますか。

 

《経理担当者A》領収書をもらうのと同時に、出張先を社長から聞いて会計処理しています。

 

《調査官》ということは、パスポートの渡航履歴の確認やe‐チケットと領収書が一致しているか確認はしていないということですね。

 

《経理担当者A》はい、そのとおりです。領収書があれば良いと思っていました。e‐チケットの入手・確認が必要とは考えていませんでした。

誰が・いつ・どの便に搭乗するか明記されたe‐チケット

⑵出入国の記録と領収書を照合

航空券の手配にはe‐チケットが必ず発行されます。航空券の支払い時には、領収書とともにe‐チケットの入手・保存が求められます。e‐チケットには、誰が・いつ・どの便に搭乗するかが明記されます。領収書ではこれらの事項が分かりません。入手し保存すべき書類となります。

 

また、調査にあたってパスポートやe‐チケットの提示を受けなくても、入国管理局に確認することで出入国の確認ができます。出入国の記録と、領収書で確認した出入国の記録とを照合し、一致しているかどうか確認します。

 

⑶プライベートな活動の有無も確認

よって、記録・保管すべき書類として、領収書のほかe‐チケットを入手するとともに、e‐チケットの番号を領収書に記載し、パスポートの出入国日を確認することが望まれます。

 

出入国の状況を見ることで、領収書とe-チケットだけでは分からないことが判明します。その中には、寄り道をしてプライベートな活動の有無も確認することができます。

 

プライベートな活動が混入している場合、現物給与として源泉所得税の課税対象となるからです。

 

【税務調査のチェックポイント】

①パスポートの渡航履歴はどうなっているか?

②e-チケットと領収書が一致しているか?

③寄り道をしてプライベートな活動の支出が混入していないか?

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