今回は、「国外財産」に対する税務調査官のチェックポイントを見ていきます。※本連載では、税理士・加藤武人氏の著書『ベテラン調査官はここを見てる―「対話方式による52事例」で読み解く!税務調査のチェックポイント集』(大蔵財務協会)の中から一部を抜粋し、事例をもとに、調査官が注目するポイントを紹介します。

海外に持ち出した個人的なお金はいくらか?

〔調査事例〕

調査官は、海外に国外財産がどれくらいあるのか、また国外財産調書の提出が必要かどうかについて確認する。

 

⑴海外に持ち出した個人的なお金について問われる

 

《調査官》社長さん、海外への渡航はどの程度の回数ですか。

 

《経営者》年間10回程度です。

 

《調査官》渡航先はどちらですか。

 

《経営者》はい、タイ・ベトナム・モンゴルに出かけています。

 

《調査官》訪問の目的は何ですか。

 

《経営者》各々の国に現地法人があり、事業を行っています。

 

《調査官》そうでしたか。ところで、現地法人の出資はどなたがされていますか。

 

《経営者》日本国内の法人が出資しますと、金融機関から現地法人の決算書の提示を求められますので、個人的に出資しています。

 

《調査官》分かりました。個人的に出資とのことですが、どの金融機関からお金を出していますか。

 

《経営者》○○銀行○○支店の口座から出資しています。

 

《調査官》出資金額はいくらですか。

 

《経営者》A社の出資金額は10万ドル(USD)です。

 

《調査官》アメリカドルで10万ドルですね。いつ出資されましたか。

 

《経営者》20○○年○月○日です。

 

《調査官》ところで、10万ドルの出資でどのような事業をされていますか。

 

《経営者》不動産投資と飲食業を行っています。

 

《調査官》10万ドルで不動産投資や飲食店の経営ができるのですか。

 

《経営者》いいえ。できません。飲食店を立ち上げるだけで最低20万ドルはかかります。

 

《調査官》そうしますと、不足している10万ドルはどうしたのでしょうか。

 

《経営者》個人の口座より準備して貸し付けています。

 

《調査官》個人の口座から準備したということですね。そうしますと、個人の口座から現地の口座へお振込みをされたということですか。

 

《経営者》9万ドルは日本円にて送金をしました。残りの1万ドルは日本円にて二回に分けて現金を持ち込みました。

 

《調査官》そうでしたか。個人からの貸付金10万ドルを9万ドルは振込して1万ドルは現金で持っていかれたということですね。海外に個人的に持ち出したお金はこれだけですか。

 

《経営者》その他にB社とC社に出資をしています。

「5千万円を超える」国外財産を持っていると・・・

⑵国外財産調書の提出が必要となる場合

国外財産調書の提出が必要となる方は、その年の12月31日においてその価額の合計額が5千万円を超える国外財産を有する「非永住者以外の居住者」とされています。ここでいう「居住者」及び「非永住者」は、所得税法に定める居住者及び非永住者をいい、居住者であるかどうかの判定は、その年の12月31日の現況により判定することとされています。

 

【税務調査のチェックポイント】

①現地法人への出資は誰がしているのか?

②個人的な支出はどの金融機関からお金を出しているのか?

③海外に個人的に持ち出したお金はいくらか?

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