(※写真はイメージです/PIXTA)

長年連れ添った夫婦が、定年や子どもの独立をきっかけに別々の道を歩む――。いわゆる「熟年離婚」は、もはや珍しいものではない。厚生労働省の人口動態統計によれば、婚姻期間20年以上の夫婦の離婚件数は、この20年余りで大きく増加しており、離婚全体のなかで熟年離婚が占める割合は着実に高まっている。離婚そのものが増えるなかで、いまひそかな問題となっているのが、離婚後に発覚する税務トラブルと言っていいだろう。※本連載は、THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班が担当する。

「財産分与だから非課税」は本当か?

離婚に伴う財産分与は、夫婦が婚姻中に協力して築いた財産を清算する行為であり、原則として贈与税は課されない。このため、「財産分与に税金はかからない」と理解している人も多い。

 

しかし、税務の世界では話はそう単純ではない。名目が財産分与であっても、実質的に贈与と判断されれば、贈与税が課税される。

 

たとえば、分与額が婚姻中に形成された財産の範囲を明らかに超えている場合や、夫婦の貢献割合と比べて著しく不均衡な分与が行われた場合だ。税務署は、「なぜその割合なのか」「合理的な根拠があるのか」を厳しく見てくるという。

実際に争われた熟年離婚の税務裁決

こうした考え方が、実際の裁決でも示されている。2013年7月4日の国税不服審判所は、離婚に伴う不動産の財産分与をめぐる税務処分の是非について裁決を下した。

 

この事例では、長期間の婚姻関係を解消した元夫婦の間で、不動産が「財産分与」として元配偶者に移転された。当事者は、あくまで離婚に伴う清算であり、贈与には当たらないと主張していた。

 

しかし税務当局は、不動産の評価額や分与の内容に着目し、実質的には無償、または著しく低い対価による譲渡に該当する可能性があるとして処分を行った。

 

争点となったのは、形式としての「財産分与」ではなく、分与の実態が夫婦の協力によって形成された財産の範囲内かどうかだった。

 

この裁決は、「離婚に伴う財産分与」という言葉だけでは、税務上の判断は免れないという現実をはっきり示している。

不動産を分けると「所得税」がかかることも

さらに見落とされがちなのが、財産を渡す側の税金だ。財産分与として土地や建物を元配偶者に移転した場合、分与した側は、税務上、不動産を譲渡したものとみなされる。

 

その結果、取得時よりも価値が上がっていれば、譲渡所得が発生し、所得税が課税される可能性がある。

熟年離婚でトラブルが起きやすい理由

なぜ、熟年離婚では税務トラブルが起きやすいのか。

 

1つは、扱う財産の額が大きいことだ。長年の婚姻生活のなかで、預貯金、不動産、有価証券などが積み上がり、分与額も高額になりやすい点があげられる。

 

もう1つは、「生活保障」や「これまでの貢献」を理由に、夫婦共有財産の2分の1を超える分与が行われやすい点だ。感情的な配慮としては理解できても、税務上は「過大な分与」と判断されるリスクがあるからだ。

「円満離婚」でも安心できない

注意すべきは、離婚後も関係が良好なケースだ。

 

離婚後も実質的に共同生活を続けている場合や、相続税や贈与税を回避する目的で形式的に離婚したと判断されれば、課税逃れとみなされる可能性がある。円満離婚であっても、税務上は決して「安全」とは限らない。

名目より実質を見る――それが税務

離婚は私的な問題だが、税務は常に取引の実質を見る。

 

前出の裁決が示したのは、「財産分与」という言葉の裏側まで、税務は確認するという厳然たる事実だ。

 

熟年離婚が増える今、離婚協議の場で見落とされがちな「税金」が、後になって大きな問題として表面化するケースは今後も増えていくだろう。

 

感情や善意だけで進めるのではなく、税務の視点を踏まえた冷静な整理が、これまで以上に求められている。

 

 

THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班

 

 

 \3月20日(金)-22日(日)限定配信/
 調査官は重加算税をかけたがる 
相続税の「税務調査」の実態と対処法

 

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