前回は、営業マンが持ってくる賃貸住宅の「事業計画書」に騙されないために注意すべき点を取り上げました。今回は、 事業計画書のうち「収支プラン」について見ていきます。

金利上昇リスクを加味してシミュレーションしているか

前回に引き続き、事業計画書の注意点を見ていきます。

 

「収支プラン」の主な注意点は、「金利設定」と「家賃設定」、「諸経費の計上額」です。

 

たとえば、借入金返済額の前提が変動金利なのにもかかわらず、当初の低金利のままの想定で算出しているケースもあります。数十年にわたって金利上昇リスクを加味しない収支プランなどありえません。超低金利下にあって、今後の金利上昇をも想定したシミュレーションになっているかも必ずチェックするべきです。

新築時の家賃のままで試算をしているケースも・・・

家賃設定については、①周囲の相場に対して高めに設定していないか、②入居率を100%で見積もっていないか、③家賃の値下げリスクを考慮しているか、に要注目です。

 

竣工日から入居者が埋まることはありえませんし、入れ替えや現状回復工事などで家賃が入らない期間が必ず出てきます。

 

加えて、アパートは経過年数にしたがって、空室率が増え、家賃の値下げに踏み切らないといけないケースをも想定する必要があります。しかし、実のところ、借入金の返済期間中、新築時の家賃のままで試算をしているような“甘い”収支計画書も見受けられるのです。

 

悪い実例ばかりを挙げてきました。もちろん誠意をもって対応してくれる営業マンもいますが、実際にさまざまな失敗事例を見てきたからこそ、みなさんには同じ轍を踏むことのないよう、細心の注意を払っていただきたいのです。

本連載は、2016年10月9日刊行の書籍『あなたの資産を食い潰す「ブラック相続対策」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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秋山 哲男

幻冬舎メディアコンサルティング

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