前回は、家賃保証は「安定収入の約束」ではないことを取り上げました。今回は、相続対策の賃貸経営における、業者の「儲からなくていい」というセールストークについて検証していきます。

事業である以上、収益を上げることが重要

◆要注意トーク5「相続対策だから儲からなくてもいいんです」

 

「ちゃんと利益を上げていけるか心配なので・・・」

 

そんなあなたの不安に対し、

 

「いやいや、相続対策だから儲からなくていいんです」

 

と、アパート経営を勧める建築会社の営業マンが答えたとしたら、“眉唾モノ”と判断するべきでしょう。

 

「収益が上がると、その利益が相続財産になってしまうので、トントンぐらいが一番いいんです」

 

そう言われて、「どうせ儲かっても、半分は税金で持っていかれるんだからな」などと納得してしまう人もいるようですが、ちょっと待ってください。

 

賃貸経営というからには、これは一つの立派な事業です。借入金をしっかり返済し、納税資金を確保していく上でも、収益をきちんと上げていかねばならない。マネジメントの基本です。

高めの工費設定をごまかそうとしているケースも

それなのに、「儲からなくていい」とうそぶくとは、顧客のことを思ってのセリフとは思えません。アパートを建てる本来の目的を、相続税対策という名目で、巧妙に視点をズラす手法であり、見積もり上の工費を高めに設定しているのを、ごまかそうとしているリスクもあります。

 

詳しくは本書の4章でも解説しますが、利益を上げつつ、きちんと相続対策も両立できる手法はあるのです。くれぐれも営業マンの詭弁にだまされないようにしてください。

本連載は、2016年10月9日刊行の書籍『あなたの資産を食い潰す「ブラック相続対策」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

あなたの資産を食い潰す 「ブラック相続対策」

あなたの資産を食い潰す 「ブラック相続対策」

秋山 哲男

幻冬舎メディアコンサルティング

恐ろしい「相続対策の裏側」と「知っておくべきポイント」を大公開! ・相続税対策のうち8割が実は不要!? ・バックマージンが横行する業界の実態 ・相続後にお荷物と化す無意味なアパート・マンション ・税理士のうち約半…

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