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過激化する不法移民狩り…“America First”は“Me First”?
一方、OBBBAでは国土安全保障省(DHS)に対し、国境警備や不法移民取締まりのために約1,700億ドル(約26兆円)という巨額の予算が割り当てられました。
これを受け、米国移民・関税執行局(ICE)は新規採用者に5万ドル(約775万円)のサイニングボーナスを支給し、すでに1万人を雇用しています。今後は1万2,000人まで増員し、最終的には2万2,000人体制を整える計画です。
トランプ政権は、1日あたり10万人の不法移民を拘束し、年間100万人を国外退去させるという目標を掲げています。すでに昨年末までに60万人を逮捕・送還し、さらに190万人が自発的に国外へ出たと発表しています。
こうしたICEの取り締まりは年々過激さを増しており、過度な拘束や強引な執行が目立つようになっています。
ロサンゼルスやシカゴ、ミネアポリスといった移民コミュニティを抱える都市では、街全体が意気消沈し、かつての活気を失いつつあります。国民の税金によって「不法移民狩り」が行われているとの批判も強く、取り締まりの過程で米国市民が死亡するという深刻な事例も報じられています。
また、関税政策についても、実際には消費者負担が増し、インフレ圧力を一段と高めています。
今回の関税措置では、輸入業者が多額の関税を負担しており、結果としてそのコストが価格に転嫁されています。この点については「事実上の増税ではないか」との批判が根強く、現在、この関税が大統領権限を逸脱しているとして最高裁で争われており、近く判決が示される見通しで、そのゆくえは注目されるところです。
ニューヨーク・タイムズのコラムでは、ケネディ・センターにトランプ氏の名前を冠しようとする動きや、「ノルウェーが自分にノーベル平和賞を与えなかったから、グリーンランドを米国領にすべきだ」といった発言を取り上げ、強い自己中心性を感じさせると批評しています。
こうした言動を見る限り、トランプ大統領が掲げる「America First」は、実際には「Me First」に映ってしまうという、悲しい現実がアメリカには存在しています。
アメリカの変容は対岸の火事ではない
現在、アメリカ各地では反ICEのデモが相次いでいます。連邦政府と州政府の対立、同盟国を敵視する姿勢、モラルより金を優先し、弱者を切り捨てる政治姿勢……こうしたアメリカの変容は、決して対岸の火事ではありません。
本来であれば日本政府も強い関心と警戒を持つべき局面ですが、日本の報道機関の論調を見る限り、トランプ大統領に対しては驚くほど友好的で、危機感が乏しい印象を受けます。
総選挙のさなかにある日本で、この事態を正確に把握し、冷静に分析できている立候補者がどれほどいるのか。能天気では済まされない現実に、日本も向き合わざるを得ないのではないでしょうか。
奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表
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