(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢化が進む日本では、家族による在宅介護の負担がますます重くなっています。厚生労働省『令和4年国民生活基礎調査』によれば、要介護者の主な介護者は「同居の家族」が45.9%を占めます。介護者の年齢層も高く、50代〜70代が中心。体力の問題や仕事・家庭といった負担を抱えながらのケアは、精神的にも肉体的にも大きな負担となっています。「家族だから仕方ない」と思っていても、感謝の言葉すらかけてもらえない現実に、心が折れそうになることもあるようです。

「ありがとうなんて、一度も言われたことがない」

東京都内で暮らす石井尚子さん(仮名・46歳)は、要介護2の母親・澄江さん(仮名・80歳)と同居しています。数年前に母が転倒して大腿骨を骨折してから、日常生活のほとんどに介助が必要となり、仕事もパート勤務に切り替えました。

 

「お風呂もトイレも私が手伝わないと無理で。朝から晩まで呼ばれています。何かしても、『当たり前でしょ』って態度で…ありがとう、なんて一度も言われたことがありません」

 

それでも、親だから見捨てることはできない。誰にも頼れず、心をすり減らしながらの介護生活が続いていました。

 

ある晩、訪問介護の担当者が帰った直後のこと。ベッドの上で不機嫌そうな母から、突然こんな言葉をぶつけられたといいます。

 

「もう来ないでほしい。あの人、嫌い」

 

尚子さんが「そんなこと言ったら、来週から来てもらえなくなるよ?」とたしなめると、母は不満げにこう返しました。

 

「だったら、あんたがもっとちゃんとやればいいだけじゃない」

 

その瞬間、尚子さんはキッチンに立ったまま、声を出さずに泣きました。

 

「私は、母のためにって思って続けていることって、なんなんだろうって」

 

母の収入は月17万円の年金のみ。要介護2の認定を受けており、介護保険サービスを利用しているものの、通院やリハビリなどの費用は尚子さんのパート収入からも補っています。

 

介護保険制度では、要介護2の場合、訪問介護や通所リハビリ(デイケア)などを月額で限度額(要介護2の場合は19万7,050円)まで1〜3割の自己負担で利用できます。とはいえ、限度を超えた分は全額自己負担となるため、在宅介護の継続は経済的にも厳しくなりがちです。

 

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