解決策としての「法人化」と、Aさんの決断
そんな折、不動産オーナーの会合に参加したAさんは、周囲の参加者に悩みを相談してみました。そこで耳にしたのが「法人化」という選択肢です。
どうやらある程度の基準になってきたら、法人化したほうが、メリットがあるらしいのです。「税理士に相談して法人化した」という話も聞いて、これまで自身ですべてを行ってきたAさんにとって、非常に新鮮な響きでした。
真面目なAさんは、早速法人化に関する本を購入して勉強を始めます。本によると、法人化の方法には、「管理委託方式」「サブリース方式」「不動産所有方式」の大きく3つにわけられるとのこと。そのなかでも一番メリットが大きいのは、不動産所有方式であることもわかりました。
「そういえば教えてくれた人も『個人で持っていた不動産を売却した』といっていたな……」と、相談時の話を思い出して、その意味がようやく理解できました。
会社を作って、そこに自分の不動産を売却するなんて、いままで考えてもみなかったのですが、会合での話を聞く限り、それほど難しいことではなさそうです。法人設立の手続きも、自分で調べればできることを知ったAさんは、「自分でもできるのではないか。よし、やってみよう!」そう思い立ち、本やネットを駆使して準備を進めます。
会社設立も無事に完了し、自信を深めた彼は、いよいよ「不動産の売却(個人から法人への移転)」に着手しました。ここまで来たのだから、あと少し――。最後まで自力で調べ上げ、ついにAさんはすべて自分の手で法人化を完遂したのです。
とても大変な作業でしたが、Aさんはやり切ったことへの達成感でいっぱいになりました。「これで確定申告での税金の心配もなくなったぞ!」と安堵し、肩の荷が下りたような気持ちになりました。
初めての税務調査
そうして、法人化から数年後。確定申告が済んでしばらくしたころ、税務署から連絡がきました。Aさんが設立した法人について、税務調査が入るというのです。
「ついに税務調査か……」新たな出来事に緊張が走りましたが、これまですべて自分で適正に処理してきた自負があります。「今回もなんとかなるだろう」そう、Aさんは調査当日を迎えました。
調査官は重加算税をかけたがる
相続税の「税務調査」の実態と対処方法

