(※写真はイメージです/PIXTA)

本記事では、ジム・リカーズ氏の著書『The New Case for Gold 投資の正解が見えない時代でも、ゴールドだけは裏切らない』(APJ Media 合同会社)から、通貨制度が崩壊したケースでの金/GDP比率の重要性について見ていく。

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中国が「金の購入計画」を進めている理由とは

通貨制度の再構築に当たっては、前述のとおり、各国が集まって交渉することになる。

 

その会合は、ポーカーゲームに例えることができる。ポーカーでは、プレーヤーは大量のチップを持って優位にゲームを進めたいと考える。金は、ポーカーのチップの役割を果たす。世界が自動的に金本位制になるという意味ではない。金の量が交渉での発言力を左右するという意味だ。

 

世界の公的金は約3万5000トン程度だ(訳注・2024年12月末時点での公的金は約3万6200トン)。「公的金」とは、中央銀行や財務省や政府系ファンドが保有する金を指す。金塊として民間保有されている金や宝飾品や装飾に使われる金は含まれない。

 

中国が過去7年間に取得した金は3000トンを超える。これは世界の公的金のほぼ10%に相当し、中国が金準備を増やしていることがわかる。金の購入計画を進めるため、中国は情報を非公開にしている。金市場は流動的だが、取引量は少ない。中国の購入意志と行動が完全に開示されたら、金価格はもっと高くなるだろう。

 

閑散市場に大口の買い手が現れると価格が上昇するのと同じだ。中国としては、金の取得計画が完了するまで、金の価格をできるだけ低く抑えておきたいと考える。

 

国際通貨が崩壊して世界がゲームのルールを見直さなければならなくなったときに有利に交渉を進められるように、中国は多くの金を取得しようとしている。

 

カナダやオーストラリア、イギリスのように、金/GDP比率が低い国は、壁際の離れた席に追いやられる。これらの「金小国」は国際通貨の再構築の傍観者となり、アメリカやヨーロッパ、ロシアや中国がどのような制度を考案しようともそれを甘受しなければならないだろう。

 

このシナリオでは、ドイツがヨーロッパの代表となるため、新制度は、IMFが管理する米・独・露・中の通貨共同体に基づくものになるだろう。これらの主要「金大国」は、すでにこのようなシナリオを想定して準備を進めている。これが、筆者が「影の金本位制」と呼ぶものだ。

準備資産としての金

金は貨幣である。政策立案者や経済学者は金を過小評価しているが、今後も金はきわめて優れた富の貯蔵手段であり、世界の通貨制度において欠かせない役割を果たし続けるだろう。

 

これは、フランスのおかげによるところもある。1975年、金は通貨制度での役割が低下していたにもかかわらず、フランスはIMFで確固たる立場を公言し、公的準備に金を加えるべきだと主張した。

 

経済学者たちは、金にそれほど関心がないようだ。金は彼らからほぼ無視され、貨幣という観点で研究されることもない。それでも、金がなくなったことは一度もなく、舞台裏で重要な役割を担っている。金は今でも国際通貨制度の準備資産であり、今後その重要性はますます高まるだろう。金を理解することは、国際通貨制度の未来を理解するための枠組みとなる。

 

 

ジム・リカーズ

APJ Media 合同会社

編集長/地政学者/経済学者/弁護士

 

 

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※本連載は、ジム・リカーズ氏の著書『The New Case for Gold 投資の正解が見えない時代でも、ゴールドだけは裏切らない』(APJ Media 合同会社)より一部を抜粋・編集したものです。

The New Case for Gold 投資の正解が見えない時代でも、ゴールドだけは裏切らない

The New Case for Gold 投資の正解が見えない時代でも、ゴールドだけは裏切らない

ジム・リカーズ

APJ Media 合同会社

本書では、以下の主張を展開していく。 「金は貨幣である」 「金に基づく通貨制度の構築は可能であり、もっと言えば望ましい」 「〝公的な〟金本位制が確立されていないのであれば、個人は資産を守るために、金を購入すること…

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