(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢の親を気遣い、毎月の仕送りを続けている人も少なくありません。厚生労働省『2024年 国民生活基礎調査の概況』によると、高齢者世帯のうち43.4%が年金収入のみで生活しており、収支のやりくりに不安を抱える人も多いといいます。一方で、「仕送りが本当に必要だったのか」「そのお金はどう使われていたのか」という問いには、亡くなったあとに初めて答えが見えることもあるようです。

 “預貯金に手をつけたくない”と考える高齢者も

高齢者が、子どもからの金銭的援助を「ありがたい」と感じながらも「使えない」と思ってしまう背景には、世代的な価値観の違いもあります。

 

内閣府『令和6年度 高齢社会対策総合調査(高齢者の経済生活に関する調査)』によれば、60代以上の高齢者世帯のうち、預貯金の取り崩しについて「ない」「ほとんどない」と回答した割合は36%にのぼります。 “預貯金に手をつけたくない”と考える高齢者は、想像以上に多いようです。

 

「親は、“老後資金は減らしてはいけない”という意識が強いのかもしれませんね。ましてや、子どもからもらったお金なんて、余計に手をつけにくかったんだろうなと思います」

 

徹さんは、母が残した預金を、相続手続きを経て正式に受け取りました。相続税の対象にはなりませんでしたが、母の“思い”が詰まったお金をどう使うべきか、今も悩んでいるといいます。

 

「旅行や趣味に使ってくれていたらよかったのに、と今でも思います。でも、結局は“安心のための蓄え”だったんですよね。私が老後を迎えたときに、同じことをするのかもしれないと思うと、母の気持ちが少し分かるようになりました」

 

仕送りが「本当に必要だったかどうか」は、当事者である母がすでに他界している以上、今となっては分かりません。ただ、母が毎月の仕送りに心から感謝していたのも事実です。

 

徹さんは最後にこう話します。

 

「母が“自分のために用意してくれていたお金”を、私は“母のために送ったお金”だと思っていた。でもその境界は、もしかしたら、最初から曖昧だったのかもしれません」

 

老後の親子関係は、“お金のやりとり”以上に、思いやりとすれ違いの積み重ねでできているのかもしれません。

 

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