「父の生活は楽になっていなかった。だったら…」
直人さんは、父の生活を振り返ります。
「決して裕福ではなかった。でも、仕送りがあったから“足りない”わけでもなかった。ただ、父は自分のためにお金を使わなかったんです」
暖房を控え、食事も簡素に済ませ、病院にも最低限しか通っていなかった父。その裏で、現金だけが静かに積み上がっていました。
「仕送りをしていたのに、父の生活は楽になっていなかった。だったら、もっと話しておけばよかったと思います」
老後の家計支援は、「お金を送る」だけでは完結しません。何に困っているのか、何を我慢しているのか――それを共有できなければ、支援は形だけになってしまいます。
「もう大丈夫だから」
その一言は、安心のサインではなく、「これ以上、世話をかけたくない」という父なりの限界だったのかもしれません。
親のお金、子のお金、その境界線は、老後になるほど曖昧になります。残された現金は、直人さんにとって“安心”ではなく、もっと早く気づくべきだった父の本音を映すものでした。
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