69歳になると「思わぬ異変」…繰下げを後悔した理由
69歳を過ぎた頃、佐々木さんの体に異変が現れました。長時間立っていると腰に激痛が走り、慢性的なめまいと動悸にも悩まされるように。精密検査の結果、腰部脊柱管狭窄症と高血圧、軽度の不整脈が見つかりました。
すぐに命に関わる病気ではないものの、長時間の移動や歩き回ることに不安があり、気力も衰えがちに。結局、計画を立ててもキャンセルしてしまうことが増えたといいます。
「私、健康にはかなり自信があったんです。5年なんてあっという間じゃないですか。それまでは変わらず元気だろうと信じていたんです。まさか、こんなにガタガタになるなんて思いませんでした」
70歳で仕事を辞め、年金は繰下げによって月20万円近くに増えましたが、思い描いていた生活とは違ったといいます。
「外出は減りましたし、貯金や年金の使い道もあまりない。病院代の心配がないことだけはありがたいけれど、お金が増えても、動ける体じゃなきゃ意味がない。今はそれを痛感しています。時間だけは取り戻せないとわかっていたのに……」
年金の受け取り方は「時間の使い方を決める選択」でもある
年金の繰下げ受給は、1ヵ月ごとに0.7%ずつ増額され、最大で84%増。制度だけを見れば、非常に魅力的に映ります。しかし、その判断を難しくしているのが「寿命」と「健康」の問題です。
たとえば、65歳からの受給を70歳まで繰下げた場合、総受給額が追いつく損益分岐点はおよそ81歳11ヵ月。一方で、男性の健康寿命は平均で72~73歳前後とされ、「自由に動ける時間」はそれほど長くありません。
年金繰下げは長生きすれば得、早ければ損という単純な話ではなく、「自分の時間の使い方を決める選択」なのです。繰下げは途中で取りやめ、65歳から受給した扱いに遡ることも可能です。ただし、その判断をする時点で、体力や気力が落ちている可能性もあります。
年金をいくらにするか――数字だけで判断せず、「元気な時間」と「安心できる老後」、どちらを優先したいのか。その答えを持っている人ほど、年金の受け取り方で後悔しにくいのかもしれません。
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