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こたつで爆発した怒り
そんなある日の夕暮れ、和子さんの我慢はついに限界を迎えます。居間のこたつに入ると、そこにはいつものように恵さんが体を伸ばし、スペースの4分の3を独占して寝そべっていました。
「ちょっと、足を縮めてくれない?」
和子さんが努めて冷静に声をかけると、恵さんはスマホを眺めたまま、「え、狭い?」と悪気のない返事を返します。その無防備で身勝手な態度が、和子さんのなかで張り詰めていた糸を切りました。
自分たちの老後資金が削られ、自由な空間さえ奪われている現状。このままでは共倒れになってしまう――。和子さんは、恵さんの足を押し返すようにして、真っ直ぐに娘の目を見据えました。そして、絞り出すようにこう切り出したのです。
「恵、もう限界なの。一緒に住むのはいいわ。でも、私たちも老後なの。これからの期限とお金の話、ちゃんとしましょう」
その言葉の重みに、恵さんはハッとした表情を浮かべ、やがて涙をためながら静かにうなずいたといいます。
老後破綻を防ぐために必要な線引きとお金のルール
ファイナンシャルプランナーとして、まずお伝えしたいのは、情とお金は切り分ける必要があるという点です。
まずは生活費の明確化。食費や光熱費として、最低でも月3万円から5万円の負担を求めるべきです。払えないなら、就労までの期限を区切りましょう。
次に老後資金の見える化です。退職金1,800万円が、何歳までの生活費を賄う前提なのかを数値で確認します。そこに子の生活費が含まれていないことを、本人にも伝えなければなりません。
そして、住み続ける前提をつくらないことです。「いつまでにどうするか」を言葉にしない同居は、ずるずると長期化します。
親の老後と、子の人生は別物です。助け合うことと、依存を許すことは違います。老後破綻を防ぐ第一歩は、静かな違和感に気づいた時点で、現実的な対話を始めることです。感情ではなく、数字で。これが、家族を守るための最も冷静で優しい選択なのかもしれません。
波多 勇気
波多FP事務所 代表
ファイナンシャルプランナー
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