(※写真はイメージです/PIXTA)

総務省『家計調査(2024年)』によると、世帯主が50~59歳の二人以上世帯では、月の消費支出が平均約35万7,000円にのぼり、可処分所得は約56万9,000円。そこから税金や社会保険料などの非消費支出として約14万1,000円が差し引かれています。持ち家率は85.3%と高いものの、住宅ローンや教育費、保険料といった支出が重なることで、「収入はあっても余裕を感じにくい」家計が少なくありません。老後が現実味を帯びてくるこの時期に、初めて家計の全体像と向き合い、その“実像”に直面する人もいるのです。

「俺の人生、何だったんだろう」

「これまで疑問を持たなかった自分にも責任はあります。でも、もっと早く共有していれば……」

 

中村さんは、家計の全体像を初めて知った夜、しばらく眠れなかったといいます。

 

「『俺の人生、何だったんだろう』って考えてしまった。でも、それは後悔というより、喪失感に近かった」

 

その後、夫婦は家計の見直しを始めました。支出を洗い出し、保険を整理し、小遣い制も見直すことに。老後の働き方についても、60代以降の再雇用や年金の受給時期を含めて話し合っています。

 

「もっと早く話していればよかった。でも、今からでも遅くないと思っています」

 

収入水準が平均を上回っていても、家計全体を詳しく把握しないまま働き続けることは珍しくありません。しかし、老後が近づいたとき、「何のために稼いできたのか」が分からなくなる人もいます。

 

中村さんは、こう語ります。

 

「これからは、“家族のため”だけじゃなく、自分の人生のためにも働きたい」

 

家計は数字の問題であると同時に、人生の選択の積み重ねでもあります。老後目前で突きつけられた“家計の答え”は、多くの現役世代にとって、決して他人事ではないのかもしれません。

 

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