親も子も「限界を迎えやすい時代」
金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査(2023年)』によると、60代単身世帯の金融資産の中央値は210万円です。定年後の再雇用や非正規就労では、収入が不安定になりやすく、親を支え続ける余力が徐々に失われていくケースも少なくありません。
「仕送りを続けられなくなったからといって、責める気持ちはありません。息子だって、自分の生活がありますから」
そう語る澄江さんの言葉には、諦めと同時に現実を受け止める静けさがありました。
一方、信一さんも葛藤を抱えています。
「罪悪感がないと言えば嘘になります。でも、自分が先に生活破綻してしまったら、結果的に誰の支えにもなれない。支援をやめたことより、支援を“続けられない状況”になったことがつらいんです」
信一さんは現在、地域包括支援センターに相談し、母の生活支援制度について情報を集めています。社会福祉協議会の生活福祉資金や、高齢者向けの見守りサービス、訪問支援など、利用できる制度を一つずつ確認しているところです。
「今までは『家族で何とかしなきゃ』と思っていました。でも、制度を使うことも、家族を守る一つの方法なんだと考えるようになりました」
高齢の親を支えることは、決して「義務」や「覚悟」だけで語れるものではありません。親世代も子世代も、それぞれが限界を抱える時代です。どちらかが無理を重ねて倒れてしまう前に――支援の在り方を、家族と社会の両面から見直す必要があるのかもしれません。
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