(※写真はイメージです/PIXTA)

少子高齢化が進む日本では、老後の生活を「年金だけで賄う」ことは年々難しくなっています。総務省『家計調査(2024年)』によれば、高齢単身無職世帯の平均支出は月およそ15万円にのぼります。一方、老齢基礎年金の満額でも月額6万9,308円にとどまり、多くの高齢者が貯蓄の取り崩しや家族の支援を前提に生活しているのが現実です。その一方で、親を支える子世代もまた、自身の老後や働き方の変化に直面しています。長年続けてきた支援が、「ある日突然、続けられなくなる」局面を迎えることは、決して珍しい話ではありません。

親も子も「限界を迎えやすい時代」

金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査(2023年)』によると、60代単身世帯の金融資産の中央値は210万円です。定年後の再雇用や非正規就労では、収入が不安定になりやすく、親を支え続ける余力が徐々に失われていくケースも少なくありません。

 

「仕送りを続けられなくなったからといって、責める気持ちはありません。息子だって、自分の生活がありますから」

 

そう語る澄江さんの言葉には、諦めと同時に現実を受け止める静けさがありました。

 

一方、信一さんも葛藤を抱えています。

 

「罪悪感がないと言えば嘘になります。でも、自分が先に生活破綻してしまったら、結果的に誰の支えにもなれない。支援をやめたことより、支援を“続けられない状況”になったことがつらいんです」

 

信一さんは現在、地域包括支援センターに相談し、母の生活支援制度について情報を集めています。社会福祉協議会の生活福祉資金や、高齢者向けの見守りサービス、訪問支援など、利用できる制度を一つずつ確認しているところです。

 

「今までは『家族で何とかしなきゃ』と思っていました。でも、制度を使うことも、家族を守る一つの方法なんだと考えるようになりました」

 

高齢の親を支えることは、決して「義務」や「覚悟」だけで語れるものではありません。親世代も子世代も、それぞれが限界を抱える時代です。どちらかが無理を重ねて倒れてしまう前に――支援の在り方を、家族と社会の両面から見直す必要があるのかもしれません。

 

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※本記事のインタビューではプライバシーを考慮し、一部内容を変更しています。

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