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資金流出だけではない、「不正」が会社に残した深い傷
佐伯さんは3,000万円を持ち出しました。しかし、取引先への支払いや税金、給与は待ってくれません。社長は感情を押し殺し、まず資金繰りの整理から着手しました。金融機関に状況を説明し、支払いの優先順位を即座に組み替えます。
処理が遅れれば、1つの不正事件は会社全体の経営危機に変わります。佐伯さんへの対応も、感情で甘くすることはしませんでした。証拠を揃え、専門家と相談し、会社として取るべき手続きを1つずつ進めました。
それでも、その喪失感は簡単には癒えませんでした。事件を振り返りながら、社長は静かにいいました。
「右腕を失うというのは、単なる人材流出ではないんです。『お金』は取り戻せる可能性があっても、大事な存在がいなくなってぽっかりと空いてしまった心の穴は埋まりません」
どの会社も他人事ではない…中小企業ほど潜む「危険な構造」
ここまで読んで、「これは特殊なケースだ」「うちは大丈夫だ」と感じた経営者もいるかもしれません。しかし、筆者の考えは正反対です。この手の不正は、中小企業ほど起きやすいと考えます。その理由は明白です。
・信頼を根拠に、権限が1人に集中している
・他者によるチェックの過程が設計されていない
問題は「裏切った人間」だけにあるのではなく、「裏切れてしまう構造」にあります。
「不正が起きない構造」こそ、経営の土台
3,000万円という利益を出すのがどれほど大変か、経営者なら痛いほどわかるはずです。冒頭、社長は初詣で「会社が平穏に、一段上に進めますように」と願いました。しかし、その成長の原資となる利益が不正で消えてしまえば、「平穏」はおろか、会社を「一段上」に進める成長戦略など画に描いた餅に帰します。
筆者は、経営において一貫して「実行できる戦略こそが価値を持つ」と考えています。どんなに立派な理念や事業計画を掲げても、それを実行するための土台がなければ、ただの願望で終わってしまうからです。
戦略より実行、信頼より構造、精神論より設計。会社を守るのは、人の善意ではなく、不正を物理的に起こさせない仕組みです。社長が願った平穏と成長を両立させるためには、この仕組みづくりが不可欠といえます。
多くの中小企業が、この事件と同じ構造を抱えたまま、新年の本格的なスタートを切っているのではないでしょうか。「今年は飛躍の年に」と掲げた目標や事業計画も、その足元に「不正が起きてしまう構造」という穴が開いていれば、一瞬にして崩れ去ってしまいます。業務が本格稼働するいまこそ、自社の信頼のあり方と、それを支える仕組みの再点検に着手してみてはいかがでしょうか。
萩原 峻大
東京財託グループ 代表
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