若手や中堅ならいざ知らず、管理職・経営幹部クラスの転職において「キャリアアップしたい」「〇〇を学びたい」という動機は通用しない。むしろ、評価を大きく下げてしまう……そう語るのは、エグゼクティブ転職の専門家・井上和幸氏。本記事では幹部人材が転職時に問われる本質について解説します。
若手・中堅人材と幹部人材が「採用される理由」の決定的な違い
そもそも「若手・中堅人材が採用される理由」と「幹部人材が採用される理由」には大きな違いがあります。
若手・中堅人材の場合、<組織の中で定義されたファンクションを担い、全うしてくれること>が彼・彼女らを採用する決め手となります。「当社がやって欲しいことを、できるだけ高いレベルで、つべこべ言わずにやって欲しい」のです。
これに対して、幹部人材に求められるのは、<その組織をどう動かしていけばよいのかという問いに答えてくれること>です。「この人に任せれば、我々の想定を超えたレベルの、より良いやり方で組織を率いて、成果を上げてくれるのではないか」と、企業の事業責任者、人事責任者、経営者が思うかどうかが判断軸になります。
このクラスで意識的に「キャリアアップしたい」「御社で〇〇を学びたい」と語る人はいないのではないか? そう思われるかもしれません。しかし、実際にこうした例は意外なほど多いのです。
また、動機を簡潔にまとめようとした結果、意図せずともそのように伝わってしまうこともあります。
例えば、現職ではやり切った、次はより大きな裁量で価値を出したいという意図であっても、「これまでの経験を踏まえて、次のステージとしてキャリアアップを図りたいと考えています」と伝えると、採用担当目線では自分の成長が主で、会社に何をもたらすのかが見えません。
また、事業の方向性に共感しており、深く関与したいという意図を伝えようとして、「御社の事業は非常に魅力的で、そこで〇〇を学びたいと考えています」と表現すると、相手にはインプットが目的で、アウトプットの視点が弱いととらえられます。
この違いがわかれば、なぜ管理職・経営幹部クラスの転職動機が「キャリアアップ」「〇〇を学べる」では困るのか、腑に落ちることと思います。
株式会社 経営者JP
代表取締役社長・CEO
1966年群馬県生まれ。1989年早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。人材開発部、広報室、学び事業部企画室・インターネット推進室を経て、2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年より株式会社リクルート・エックス(2006年に社名変更、現・リクルートエグゼクティブエージェント)。エグゼクティブコンサルタント、事業企画室長を経て、マネージングディレクターに就任。
2010年2月に株式会社 経営者JPを設立(2010年4月創業)、代表取締役社長・CEOに就任。経営者の人材・組織戦略顧問を務める。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供している。人材コンサルタントとして「経営者力」「リーダーシップ力」「キャリア力」「転職力」を劇的に高める【成功方程式】の追究と伝道をライフワークとする。 実例・実践例から導き出された公式を、論理的に分かりやすく伝えながら、クライアントである企業・個人の個々の状況を的確に捉えた、スピーディなコンサルティング提供力に定評がある。自ら2万名超の経営者・経営幹部と対面してきた実績・実体験を持つ。
著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『知名度ゼロでも「この会社で働きたい」と思われる社長の採用ルール48』(共著、東洋経済新報社)、『あたりまえだけどなかなかできない 係長・主任のルール』(明日香出版社)、『プロフェッショナルリーダーの教科書』(共著、東洋経済新報社)、『人物鑑定法 あの人も、丸見えになる』(経済界)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。取材・コメント・出演実績として、「日本経済新聞」「朝日新聞」「読売新聞」「産経新聞」「日刊工業新聞」「週刊東洋経済」「日経ビジネス」「GQ JAPAN」「週刊現代」「プレジデント」「AERA」「月刊BOSS」「CIRCUS」「日経ビジネスオンライン」「ITmediaエグゼクティブ」「BOSS online」、フジテレビ「ホンマでっか?!TV」「キカナイトF」、その他業界誌等多数。
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