羽生結弦と荒川静香の「金メダル」は日経平均株価上昇につながった…冬季オリンピックと景気の意外な関係【解説:エコノミスト宅森昭吉氏】

景気の予告信号灯としての身近なデータ(2025年12月29日)

羽生結弦と荒川静香の「金メダル」は日経平均株価上昇につながった…冬季オリンピックと景気の意外な関係【解説:エコノミスト宅森昭吉氏】
(※画像はイメージです/PIXTA)

いよいよとなった、2026年ミラノ・コルティナダンペッツオ五輪。日本選手の活躍に期待が高まりますが、振り返れば1956年の日本人初メダル、1972年の日の丸飛行隊による表彰台独占など、歴史的な快挙があった年は、決まって景気も拡張局面にありました。では、近年の大会はどうだったのでしょうか? 金メダル獲得年でも株価が上がらない現実と、そのなかで市場を反転させた「特別な金メダル」について、過去のデータからエコノミストの宅森昭吉氏が読み解きます。

冬季五輪と経済の相関関係…日本人初のメダル獲得局面で、日経平均は上昇していた

冬季オリンピックで、日本人がメダルを初めて獲得した大会、初めて金メダルを獲得した大会では、景気は拡張局面、日経平均株価は上昇。

 

2026年2月6日から2月22日まで、イタリアのミラノ・コルティナダンペッツオで第25回冬季オリンピックが開催されます。大会での日本選手の活躍が楽しみです。2026年1月18日にはミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックTEAM・JAPAN壮行会が実施される予定です。

 

日本人が冬季オリンピックのメダルを初めて獲得したのは猪谷千春選手で、1956年のコルチナ・ダンペッツオ大会のアルペンスキー男子回転の銀メダルでした。1956年大会の景気は拡張局面、大会期間の日経平均株価は上昇しました。

 

次に日本人のメダリストが誕生したのは、アジア初の冬季オリンピックとなった1972年札幌大会での「日の丸飛行隊」でした。現在のノーマルヒルに当たる70m級ジャンプで笠谷幸生選手(金)、金野昭次選手(銀)、青地清二選手(銅)とメダルを独占したのです。日本人初の金メダリストが生まれた1972年大会のときも、景気は拡張局面で、大会期間中の日経平均株価は上昇しました。

金メダル獲得大会の75%が「景気拡張局面」だが…全体平均(70%)と大差ない冬の経済効果

夏のオリンピック開催年では「今年の漢字」に「金」が選ばれる傾向があるが、中間の冬季オリンピックの年に「金」が選ばれたことはない。

 

冬季オリンピックは夏のオリンピックと違い競技数も少ないことから、これまでの日本人メダリストは76名、金メダリストは17名です。

 

「今年の漢字」に夏のオリンピック開催年では、大きなマイナスの出来事が発生しないときは「金」が選ばれる傾向がありますが、中間の冬季オリンピックの年に「金」が選ばれたことはありません。

 

戦後の景気循環の拡張期間の平均は38.5ヵ月、後退期間の平均は16.3ヵ月です。全期間中、拡張期間になる確率は70.1%。冬季オリンピックで金メダルを獲得した冬季オリンピックは8大会で、そのうち時期が景気拡張局面に当たったのは6回で、拡張期間の確率は75.0%で、やや高い程度にとどまります。 

 

出所:各種資料
[図表1]冬季オリンピック 日本の金メダリスト一覧 出所:各種資料
※戦後の景気循環の拡張期間平均、70.1%。金メダル獲得・冬季五輪の拡張期間平均、75.0%。

株価が上がったのは「1972年・2014年・2018年」のみ…冬季五輪のジンクスを覆した国民的スターの存在

日本が金メダルを獲得した冬季オリンピックで、日経平均株価が上昇した3つの大会は、日の丸飛行隊の札幌大会と、冬季オリンピック選手で唯一の国民栄誉賞受賞者の羽生選手が金メダル獲得したソチ大会と平昌大会。

 

日本の選手が金メダルを獲得した大会の開催期間の日経平均株価の動きは上昇3回、横這い1回、下降4回で、日経平均株価との明確な関係はありません。海外開催の夏のオリンピックで日本選手が10個以上金メダルを獲得したときに、おおむね大会期間中の日経平均株価が上昇する傾向があることとは異なります。 

 

出所:各種資料
[図表2]冬季オリンピック日本のメダル獲得数と日経平均株価開催期間の変動率 出所:各種資料
※日本が金メダルを獲得した大会の開催期間の日経平均株価の動きは上昇3回、横這い1回、下降4回。

 

ただし、日経平均株価が上昇した3つの冬季オリンピックは、前述の日の丸飛行隊の1972年の札幌大会と、人気が高かった男子のフィギュアスケーター羽生結弦選手が金メダルを2大会連続して獲得した2014年ソチ大会と2018年平昌大会です。羽生結弦選手は2018年に国民栄誉賞を受賞しました。オリンピック選手としての偉業を表彰された4人目の受賞者で、冬季オリンピック選手としては初めてでした。

 

出所:各種資料
[図表3]2000年以降の国民栄誉賞歴代受賞者と景気局面 出所:各種資料
※〇景気拡張局面、●景気後退局面

「イナバウアー」の経済効果?トリノ五輪期間中、荒川静香の滑走日にだけ起きた“潮目の変化”

2006年新語・流行語大賞・年間大賞は金メダルの荒川静香選手の「イナバウアー」。トリノ大会の株価は唯一のメダリスト荒川選手登場で上昇に転じる。

 

2006年のトリノ大会では期待された選手が次々とメダルを逃し、日本人のメダリストはフィギュアスケート女子シングルの荒川静香選手一人でした。景気は拡張局面でしたが、日経平均株価は大会期間全体では下降になってしまいました。

 

ただし、日次データでみると日経平均株価のボトムは2月20日で、その日の終値は1万5,437円93銭でした。フィギュアスケート女子シングルが始まると潮目が変わり、上昇に転じたのです。女子シングル・ショートプログラムが行われたのは2月21日、フリースケーティングが行われたのは2月23日でした。2月24日には1万6,101円91銭とボトムから+4.3%上昇しましたが、閉会式直後の株価が開会式直前の水準まで戻ることは難しかったのだといえるでしょう。

 

2006年のユーキャン新語・流行語大賞の年間大賞は「イナバウアー」と「品格」でした。「イナバウアー」は金メダリスト荒川静香選手の得意技で、両足の爪先を外側に開いて横に滑るときに、上体を大きく反らす独特のポージングで、この年の話題になりました。

 

出所:日経平均プロフィルHP
[図表4]2006年2月の日経平均株価推移 出所:日経平均プロフィルHP

2月21日19:00(現地時間) トリノ五輪フィギュアスケート・女子シングル・ショートプログラム

2月23日19:00(現地時間) トリノ五輪フィギュアスケート・女子シングル・フリースケーティング

 

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。

 

 

宅森 昭吉(景気探検家・エコノミスト)

三井銀行で東京支店勤務後エコノミスト業務。さくら証券発足時にチーフエコノミスト。さくら投信投資顧問、三井住友アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメントでもチーフエコノミスト。23年4月からフリー。景気探検家として活動。現在、ESPフォーキャスト調査委員会委員等。

 

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