中立金利の水準への言及を避けつつも、利上げ余地を示唆
植田総裁は会合後の記者会見において、利上げペースについては、「今後の経済・物価情勢次第であり、毎回の金融政策決定会合において経済・物価見通し、リスク要因、見通し実現の確度を精査した上で判断する」として、会合毎の判断を重視するデータディペンデントな姿勢を示しました。
中立金利については、前回10月会合後の記者会見で、政策金利と中立金利との距離について、もう少しはっきり明示するとの考えが示されていただけに、今回の発言内容が注目されました。
しかし、植田総裁は、「中立金利の推計値には相当なばらつきがあり、その水準を事前に特定することは困難である」と具体的な水準への言及を避けつつ、政策金利と中立金利との距離について、「短期金利と中立金利の関係だけでなく、実質金利の水準や貸し出しの動向などを含め経済物価情勢を丁寧に点検しながら総合的に判断をしていく」との考えを示しました。
また、現在の政策金利は中立金利の下限に「まだもう少し距離がある」と追加利上げの余地があることを示唆したうえで、「さまざまな方法で推計し公表してきたが、必要に応じて今後再推計を試みたい」とも述べました。
なお、市場では、日銀による継続的な利上げ観測から、2026年9月会合までに0.25%の追加利上げが実施され、政策金利が中立金利の下限とされる1.0%に到達するとのシナリオが既に織り込まれています(図表4)。
金利先高観にもかかわらず円安が進展しており、日米のファンダメンタルズや需給要因など、金利以外の要因が円安を主導している可能性には留意が必要です(図表5)。
日銀は依然として追加利上げに含みを持たせており、弊社では政策金利の正常化プロセスは継続すると判断しています。現状では、来年4月の追加利上げを予想し、ターミナルレート(到達金利)は1.25%を着地点として想定しています。
(*)中立金利は、自然利子率に予想物価上昇率(≒物価目標2%)を加算して算出される。日銀の推計では、自然利子率は▲1.0%~+0.5%と推計値に幅があり(図表3)、これに基づく中立金利のレンジは1.0%~2.5%と想定されている。
なお、自然利子率は、景気を刺激も冷やしもしない中立的な実質金利の水準のことで、現実の実質金利が自然利子率を下回っていれば金融緩和的、上回っていれば金融引き締め的と解釈される。現状では、日銀の説明にある通り、実質金利は依然として大幅なマイナスであり、金融環境は緩和的な状態であると思われる。
東京海上アセットマネジメント
※上記は過去の実績及び将来の予想であり、将来の動向を示唆・保証するものではありません。
※上記は作成日時点の弊社の見解であり、今後、予告なく変更することがあります。
※本記事は東京海上アセットマネジメントの「Market Report 2025年12月22日」をTHE GOLD ONLINE編集部が文章を一部改変しております。
※全文は「Market Report 2025年12月22日」をご確認ください。
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