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ベターな選択

前回は、なぜ今「廃業のすすめ」なのかを取り上げました。今回は、中小企業にとって「廃業」がベターな選択となり得る理由を見ていきます。

マクロ的な観点から見た「円滑な退場」の必要性

未来投資戦略2017(従来の日本再興戦略を引き継いだもの)においては、KPIとして、「開業率が廃業率を上回る状態にし、開業率・廃業率が米国・英国レベル(10%台)になることを目指す(現状:開業率・廃業率ともに4.5%(2004~2009年の平均値))」とあります。

 

 

日本経済が回復するためには新陳代謝が必要とされ、適切な競争環境を確保するためにも「競争力を失った会社の円滑な退場」が求められるようになってきました。また、一部業種では労働力不足が深刻化しており、それを改善するためにも廃業の促進が必要、とも言われています。

 

現在の廃業率が4.5%であるものを10%台にする、ということであれば、現在の倍以上の廃業が発生することが想定されている、ということになります。

 

データ元の相違から少し数字が異なりますが、中小企業白書2017年版「付属統計資料」によれば個人事業主を含む中小企業数は4百万程度ありますので、仮に下表の数字に10%を当てはめるならば、現状24万を39万程度にする、というイメージになるものと思われます(以下の図表参照)。

 

[図表]開業率・廃業率の推移(非一次産業)

中小企業白書2017年版「付属統計資料」より一部を抜粋
中小企業白書2017年版「付属統計資料」より一部を抜粋

 

このようにマクロ的な要素から必要性が認知されたとしても、個別企業にとっては、容易に選択できるものではないということも頷ける話です。

 

しかしながら、第1回でも触れたとおり、廃業の選択は「より厳しい状況に陥る前に、メリットのある形で円滑な処理を進めるもの」であり、個別企業にとってもベターな選択である、と言えるものと考えています。

大切にしたい従業員や取引先へのケア

それではベターな選択とは何か、ということについて、新生銀行グループが関与した事案を基に具体的に見て行きましょう。これまで複数の投資事案がありますが、以下の点は概ね共通しているように感じるところです。

 

 

対象会社は赤字が続き、オーナー経営者としても事業の継続は難しいものと考えるようになっていました。悩んだ結果、事業売却を決断し、幾つかのお話があったようですが、赤字会社に関心を持ってくれる会社はなかなか見つかりませんでした。

 

その結果、オーナーは廃業もやむなしと判断され、自ら廃業することも検討されていましたが、最終的に新生銀行グループが運営するファンドに会社の全株式を売却するという選択を行いました。

 

オーナーにとっては、赤字会社の株式を売却することで、自ら廃業する場合の手間と時間を節約できる他、税務面も含めて考えた場合の手取り資金を極大化することができました。会社経営に関する様々な思いを別とすれば、経済合理性からは有利な取引を行うことができたものと思われます。

 

一方で、やはりオーナーが気にされるのは従業員や取引先への影響です。これらの利害関係人にとっては、難しい状況になってしまうことも起こり得るとは思いますが、いずれにせよ廃業という方針であったわけであり、①ぎりぎりまで事業を継続して会社が破綻してしまうよりも、順序だてて取引先に説明すること、②従業員に対しては再就職支援制度の導入、退職金の積み増し等により、きちんとした手当てを行うこと、により理解を得られるように努めるものとしました。

 

当然のことながら、会社を買収するにあたっては、これらのコストを見込んで株価に反映しますので、その分は株価が低くなることになりますが、苦労をともにしてきた従業員のための必要経費としてご理解をいただけたものと考えます。

 

なお、実際の事例では事業を引き受けてくれる会社が現れ、従業員の雇用は守られることになりました。そのためには逆転の発想が必要になったと思いますが、その点は次回、考えてみたいと思います。

 

株式会社新生銀行 事業承継金融部長

1990年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。同年、日本長期信用銀行(現 新生銀行)に入行。1995年より債権回収業務、1999年より債権投資業務に従事し、金融の立場から中堅・中小企業の債務整理や事業再生を支援。2007年より新生銀行クレジットトレーディング部長、2015年新生インベストメント&ファイナンス㈱専務取締役に就任。2017年からは新生銀行 事業承継金融部長として主に後継者不在の企業の事業承継に関する金融支援に注力。

著者紹介

連載「明るい廃業®」で資産を守る〜資産超過の段階で転業・廃業を実現し、大事なものを守る方法

 

 

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