中小企業金融円滑化法で息をついた企業も多いが・・・
2009年に施行されたいわゆる中小企業金融円滑化法は中小企業が借入の負担軽減を求めた場合に金融機関が出来る限り貸付条件の変更等を行うように努める、ということを定めたものであり、30~40万社がこの法律の適用を受けたと言われています(金融庁:平成25年3月「説明資料」)。
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当初2011年3月までの時限立法として施行された後、2度延長され、最終的に2013年3月で終了となりましたが、金融機関は引き続き法律の精神を遵守することが求められ、金融庁に状況の報告を行っています。
この期間中、返済期限の猶予は大半のケースで認められ、息をついた企業も多いものと思います。実際に倒産件数も2016年度には年間9,000件を下回っており、2002年頃から見れば半分以下になっているため、法律の効果は十分にあったものと言えるでしょう。
一方で、数は少ないものの発生する倒産事案において、民事再生法のような会社再建型の法的手続が極めて少なく、破産等によって会社が清算される割合が多くなっているものと思われます(*帝国データバンク「全国企業倒産集計」によると、再建型倒産手続である民事再生と会社更生が全体に占める割合は2009年度5.2%に対し、2017年度は2.8%)。
早めに抜本的な対策を考えれば、再建できたようなケースでも、ぎりぎりまで頑張ってしまい、手元資金が不足したりするケースがあるのではないかと思われます。
逆転の発想・・・覚悟を固めると新しい景色が見えてくる!?
改めて、本稿でテーマとしているのは、悩みを相談する相手もないままに事業を継続せざるを得ず、結果的に事業を清算せざるを得ないばかりか、個人資産も残せなくなるリスクを抱えたオーナー企業です。
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ここで求められるのは事業継続の支援よりもむしろ、早期決断を促し、適切な対処を行うことです。そのためには廃業(頑張らない)という選択肢を排除するのではなく、現実を見据え、場合によってはベターな選択肢として積極的に選び取って行くことが必要であると考えられます。
やれるだけやって、行き着くところまで行って駄目ならあきらめる、という考え方もありますが、むしろ廃業という覚悟を固め、逆の位置から眺めてみれば、そこから見えてくる景色があるものと思われます。円滑な廃業のためのコストや様々な条件において、最悪でもここまで、ということを確認できていれば、事業価値等を過大に見積もることなく適切に判断することができ、最終的に事業を譲渡することが可能になるケースも出てくるのだと思います。
新生銀行グループが廃業の相談を受ける会社は、業歴が数十年にわたる老舗の企業が多くなっています。それだけに事業への思い入れが深く、廃業への心理的な抵抗も大きいものと思います。
しかしながら、廃業は必ずしも失敗を意味するものではありません。あまりにも変化が激しい現在の環境下で何十年も企業を継続できたこと自体が素晴らしいことであり、廃業するにせよ、関係者に適切に対応し、理解を得たうえで適切な資金をオーナーの手元に残すことができるのであれば、それは成功だと考えて良いのではないでしょうか。
その資金でゆったりとした生活を送るか、新しい挑戦を始めるか、それはオーナー経営者だからこそ活用することができる、大きな可能性なのだと思います。