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早期決断が経営者の役割

前回は、金融機関が行う廃業支援について解説しました。今回は、最善の結果につながる「企業経営者の早期決断」について見ていきます。

2016年、企業の「休廃業」件数は過去最多を更新

以下の図表のとおり、東京商工リサーチによると、2016年に休廃業・解散した企業数は2万9,583件(前年比8.2%増)となり、調査を開始した2000年以降の最多記録だった2013年の2万9,047件を上回り過去最多を更新したとのことです。

 

 

2017年は2万8,142件と若干減少したようですが、高水準が続いています。

 

[図表]休廃業・解散、倒産件数 年次推移

東京商工リサーチ調べ
東京商工リサーチ調べ

 

また、2019年10月に経済産業省が公表した資料によれば、2025年までに経営者の年齢が70歳を超える中小企業のうち、約半数の127万社が後継者未定とのことです。

 

中小企業の経営者年齢の分布をみると、経営者年齢の山は1995年の47歳から2015年には66歳と移っており、経営者の高齢化が進んでいることが確認できます。それだけ事業承継は進みにくいということであり、このままでは多くの企業が廃業になってしまうのではないか、との危機感から事業承継税制の改正を含め、様々な政策が打ち出されてきました。

 

このように、廃業はもはや「良い悪い」という問題ではなく、目の前の課題となっていると考えられます。赤字の状態で事業を継続すれば、更に厳しくなることは、オーナー経営者としても頭では分かっていると思います。

早期決断で赤字事業を継続できた事例も

しかしながら、廃業ということまでの覚悟を決めて会社(株式)を売却するということは、オーナー経営者にとっては非常に難しい決断だと言えると思います。

 

 

また、赤字の会社は買い手を見つけることが難しく、M&Aの支援を行う専門家にとっても支援対象としづらいのが現状です。

 

「廃業支援型バイアウト®」では、仮に事業価値がマイナスであったとしても、資産価値から事業価値のマイナスを差し引いてなお純資産に価値が残る企業であれば、会社買取の対象として考え、様々な解決を探ります。

 

第2回、第3回で少し触れたとおり、廃業を視野に入れた売却の決断をしていただいたことによって、かえって従業員の雇用を守ることができた事例も出てきています。新生銀行グループが運営する投資組合が株式を買い取った企業に関し、事業が赤字だったにも関わらず、第三者が商権と従業員を引き継いでくださった、というものです。

 

事業は赤字ですので、「のれん」を勘案して若干のプラスの価値をつけていただいた、ということかと思いますが、仮に買い手が対象企業そのものを買収しようとすれば、不動産価値まで含めた資金が必要となるところ、事業だけを切り出すことによって少ない資金で商権を確保することができたものであり、買い手にとってもメリットが大きかったものと思います。

 

この場合、不要とされた資産は対象企業に残り、処分を進めることになりますので、廃業支援の一環とは言えますが、実質の事業および雇用は継続することができました。

 

このように事業と資産を分けて、本当に必要なものは何かと考えることができれば、事業を継続できるケースも少し増えてくるようにも感じています。いずれにせよ、必要なのはオーナー経営者の決断です。

 

株式会社新生銀行 事業承継金融部長

1990年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。同年、日本長期信用銀行(現 新生銀行)に入行。1995年より債権回収業務、1999年より債権投資業務に従事し、金融の立場から中堅・中小企業の債務整理や事業再生を支援。2007年より新生銀行クレジットトレーディング部長、2015年新生インベストメント&ファイナンス㈱専務取締役に就任。2017年からは新生銀行 事業承継金融部長として主に後継者不在の企業の事業承継に関する金融支援に注力。

著者紹介

連載「明るい廃業®」で資産を守る〜資産超過の段階で転業・廃業を実現し、大事なものを守る方法

 

 

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