赤字の状態での事業継続は「価値」を下げるばかり・・・
金融に携わる者が「廃業のすすめ」とは何だ、とお叱りをいただくかもしれません。
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しかしながら、新生銀行グループとしては、今後も続く超高齢社会において、廃業という問題に正面から向き合うことが必要ではないかと考えており、本稿では、その考え方について事例も踏まえながらお伝えしたいと思います。
以下の図表1は中小企業白書(中小企業庁2014年版)に掲載されている図であり、引退を決断した経営者の選択肢を整理したものですが、思考の過程を示しているとも考えられます。
[図表1]引退を決断した経営者の選択肢
すなわち、経営者が引退を決断した場合、「①事業承継」として、まずは親族、次には社内の人材への承継を考えますが、後継者を確保できない場合は、事業を継続してもらえる会社への事業売却を検討することになります。
しかしながら赤字が継続している会社等、事業売却が上手く行かない場合は、「②廃業」を選択せざるを得なくなります。ここで言う廃業とは、矢印を下に追っていくと分かるように、資産超過で会社をたたむことがイメージされています。
この図では、さらに「③(望まざる)事業継続」とあり、その結果として債務超過での廃業(倒産)に至らざるを得ないということが示されています。つまり、赤字の状態で事業を継続することにより、企業の価値が下がり、結果としてオーナーの手元に残せるものも残せなくなる事態に至るという、警鐘を表現しているものとも読み取れます。
超高齢社会における経営者の後継問題が今後の大きな課題となることは十分に認知されており、図の①にあたる部分に関しては、コンサルティング会社や専門家が様々な支援策を考え、金融機関や投資ファンドが融資や会社買収といった形で資金提供を行っています。
日本の企業の99.7%は中小企業であり、従業者の70.1%が中小企業で働いている(*中小企業白書2017年版「付属統計資料」)という現状を考えれば、各社が築いてきた経験・ノウハウを引き継ぎ、事業を継続することが重要であることは言うまでもなく、それを支えるべく、様々なプレイヤーが更に大きな役割を果たすように尽力するのは当然のことであると思います。
早期に廃業を決断することで「資産防衛」が可能に
一方で、残念ながら経済環境や社会環境の変化により、従来手がけていた仕事が競争力を失い、事業の継続が難しくなってしまう企業があることも否定できません。
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これらの企業については、円滑な事業撤退が必要になりますが、事業承継・事業再生といった、将来につながるという大義名分がなく、金融機関や投資ファンドの支援の対象から外れてしまうため、悩みを抱えるオーナー経営者が多いのではないかと思われます。
実際に、中小企業庁のアンケート結果をみると、廃業については相談する相手がいない、という事実が浮かび上がってきます(以下の図表2参照)。
[図表2]廃業に関しての相談相手
本当は廃業したいと思っていても、相談する相手もなく、様々なしがらみから「望まざる事業継続」を行って企業価値を劣化させてしまう事例も多いのではないかと思われます。
新生銀行グループが運営するファンドでは、このようなお客さまのお悩みに応える方法として、図の②にあたる「資産超過で廃業を予定する会社」を買収し、オーナーに代わって廃業のプロセスを進める、「廃業支援型バイアウト®」ということに取り組んでいます。
上述のとおり、この取組は事業を継続できる企業を廃業させるものではなく、放置すれば③の債務超過による廃業(倒産)に進んでしまう企業に対し、早期に廃業の決断を行っていただき、必要な手当を講じることにより、オーナーの資産防衛・価値実現のお手伝いをしようとするものです。その意味で、あえて「廃業のすすめ」なのです。
次回は廃業のメリットをもう少し掘り下げてみます。
「明るい廃業®」「廃業支援型バイアウト®」は新生銀行の登録商標です。