夫婦間に生じたズレ
誠一さんは再び、東京の友人と会いたい、時々は都内に戻りたいと言い出しました。これに対し、美紀さんは複雑な思いを抱えました。
「私はまだ、ここで暮らしていたかった。でも、夫に我慢させるわけにもいかないし…」
結局、佐藤夫妻は「今後は都内の息子宅との“二拠点生活”に切り替える」という選択をしました。
「正直、後悔しているわけではないんです。でも、“理想だけでは暮らしていけない”と痛感しました」
移住支援制度の一環として「お試し移住住宅」や「二地域居住」のサポートを行う自治体も増えています。
「自然に囲まれた場所で趣味を楽しみたい」「もう少し静かな環境で暮らしたい」――そうした思いから、都市と地方の“二拠点生活”に魅力を感じる人は一定数存在します。ただし、移住の成否を左右するのは、医療機関や交通手段といった生活基盤の有無です。
理想の老後を求めて始まった地方移住も、暮らし続けるなかで新たな課題が浮かび上がってきます。自然豊かな環境、ゆったりとした時間の流れ――それらは確かに魅力的ですが、医療や交通、人とのつながりといった「生活の土台」も同じくらい大切です。
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