「老後の生活費」平均はいくら?—実は多くの人が赤字
総務省『家計調査(2024年)』によると、高齢夫婦無職世帯の月平均支出は約25.6万円、一方で可処分所得は約22.2万円。つまり、平均で月3.4万円ほどの赤字が発生しています。
一人暮らしの場合も、支出平均は約14.9万円、可処分所得は約12.1万円で、月2.8万円ほどの赤字。これを補うのが、退職金や預貯金の切り崩しという構造です。
つまり、「貯金があるから大丈夫」と思っていても、月数万円の赤字が何年も続けば確実に減っていくのです。
「働いていたときは時間がなくて、逆にお金は使わなかった気がします」と話す西田さん。自由な時間が増えたことで、気軽な外出・食事・趣味が日常となり、「使っている実感がないままお金が減っていた」と振り返ります。
西田さんは現在、外食を月1回に減らし、サブスク型の習い事を解約。買い物もまとめ買いを意識し、スマホで家計管理を徹底するようになりました。
「これから先、介護や医療にもお金がかかるかもしれません。『今が楽しければいい』だけじゃダメなんだと、ようやく気づきました」
現役時代のような「大きな買い物」ではなく、“小さな出費”の積み重ねこそ、老後資金を削っていく要因になりがちです。特に「ヒマな時間をどう過ごすか」は、お金の使い方にも直結します。
「思ったより使ってない」と感じていても、月6万円の赤字が5年続けば360万円の減少。10年なら720万円。高齢期の支出は「じわじわ」減っていくからこそ、早めの見直しと可視化が重要です。
