築40年の木造アパートを売却したら、突然「税務署」から“お尋ね”が届いたワケ【税理士が解説】
賃借人が修繕工事を拒否した場合の対処法
修繕工事を実施する場合の注意点
賃借人が修繕工事受忍義務を負っている場合でも、賃貸人は、賃借人に無断で物件内に立ち入って修繕工事を実施することは差し控える必要があります。
無断での物件内への立ち入りは、賃借人に修繕工事受忍義務がある場合でも正当化されず、プライバシーを侵害するものとして損害賠償責任を負う可能性があるためです(物件内に無断で立ち入ってクーラーの修繕工事を行った行為につき、損害賠償請求が認められた裁判例として、大阪地方裁判所平成19年3月30日判決(平成18年(レ)第196号、平成18年(レ)第239号))。
賃借人が修繕工事の拒否を続け、必要な物件内への立入りや物件の明渡しに応じない場合には、弁護士に依頼をして賃借人と交渉を行う、訴訟提起し修繕工事を認める判決を獲得するなどの方法を検討しましょう。
賃貸借契約の解除の可否
賃借人が修繕工事の拒否を続け、必要な物件内への立入りや物件の明渡しに応じない場合には、賃貸借契約の解除をすることも考えられます。
実際に、賃借人に修繕工事受忍義務違反があることを理由として賃貸借契約の解除を認めた裁判例もあります(横浜地方裁判所昭和33年11月27日判決(昭和32年(ワ)第5号))。
ただし、賃貸借契約の解除が認められるハードルは低くはなく(修繕工事受忍義務違反がある場合でも賃貸借契約の解除が認められなかった裁判例として東京地方裁判所平成22年3月29日判決(平成20年(ワ)第22960号))、場合によっては立退料を支払わなければならない展開になることもあります。そのため、解除に踏み切る場合には弁護士のアドバイスを受けるなど、慎重に検討する必要があります。
また、修繕工事受忍義務違反があることについて、連絡文書の保存等、証拠をきちんと残しておくことも重要です。
まとめ
賃貸人は、上述してきたような点に注意しながら、修繕工事の実施のために必要な対応を慎重に検討し、実施しなければなりません。本記事が、そのような場面において一助となれば幸いです。
溝口 矢
法律事務所Z アソシエイト・東京オフィス
弁護士

