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利害調整を進めるため、「キーパーソン」との協力が不可欠
ミドルマネジャーは会社全体の利益を考えて動く必要がある一方で、自分の部署やチームの立場を代弁する役割も担っています。さらに、ミドルマネジャーの使命には、部門の業績向上だけでなく、部下のモチベーションの向上や、将来を見据えた人材育成も含まれます。
これらを実現していくためには、ミドルマネジャーは、単に妥協して譲るだけではその役割を果たしたとは言えません。部分最適に偏らない範囲で、自分の部署の利益を主張し、実現することが求められます。
部署として必要な機会や資源を得れば、部下の成長機会を増やすことができます。また、機会や資源を確保して部署の業績が向上すれば、部下たちは自信をつけ、モチベーションも高まります(Bandura, 1997)。
利害調整をうまく進めるためには、社内のキーパーソンと協力することが不可欠です。これは、社会的資本理論(Burt, 1997)でも示されているように、人と人とのつながりによって、個人では生み出せない価値が生み出されるという考えです。利害調整や資源の獲得は、1人で行うのは難しくても、誰かと協力することで実現できる場合があります。
新卒一括採用や配置転換が一般的な日本の大企業では、同期入社組のつながりや、さまざまな部署を渡り歩く中で形成した人脈が重要になります。そのような慣行がない会社で働く人や、中途入社で同期とのつながりが少ない人は、能動的にキーパーソンと関係を築く必要があります。
キーパーソンが誰なのか分からない場合(分かっている場合でも)は、まずは身近な人々との信頼関係を築くことが基本です。良好な人間関係に加え、互恵的な関係を築くことで、支援や協力を得やすくなります。これは、社会的交換理論(Blau, 1964)で示されている考えです。
たとえば、以前に自分が協力した相手が、次の機会には自分のために動いてくれるという「持ちつ持たれつ」の関係です。互恵的な関係は、権限や命令がなくても人を動かす原動力となり得ます。
施策を上層部に売り込み資源を引き出す「イシュー・セリング」
予算、人員その他の支援など、自分の部署に必要な資源を獲得するためには、イシュー・セリングも重要です。イシュー・セリングは、リーダー(特にミドルマネジャー)が自らの部署の課題を、重要な問題として認識してもらうために上層部に売り込むことです。
イシュー・セリング理論では、ミドルマネジャーが自部署の戦略や施策を上層部の目に留まるように売り込み、資源投入を引き出す方法が議論されています(Dutton & Ashford, 1993)。イシュー・セリングには、売り込むタイミング、誰が売り込むか、どのようなキーワードを使うかといった、さまざまな戦略があります。
会社全体の利益をふまえた社内政治の文脈で重要なのは、ある提案がどのように社内で受け止められやすいかを考えることです。また、どのような主張が正当なものとして受け入れられやすいかを見きわめることも重要です。
